滋賀県でカレーによるウエルシュ菌食中毒発生!世田谷でも···元学校給食調理員が解説

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こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
 
 
 
しかも、その3件の原因は全て同じ業者が製造している刻み海苔であったという、前代未聞の集団食中毒事件となりました。
 
 
そして今回、ウエルシュ菌食中毒も立て続けに発生しています。
 
今日は、ウエルシュ菌食中毒を、元学校給食調理員が解説します。
 




滋賀県、東京都世田谷区ウエルシュ菌食中毒事件の概要

 
滋賀県は21日、守山市千代町の「総合給食センター 一番」が提供した弁当のカレーを食べた工場など4事業所の従業員77人が、下痢や嘔吐など食中毒症状を発症したと発表した。
 うち12人からウエルシュ菌を検出したため、草津保健所は食中毒と断定。22日から4日間の営業停止処分とした。全員が快方に向かっているという。
 県によると、原因とみられるカレーは3月15日に提供された。ウエルシュ菌による食中毒は、加熱調理後に放置されたシチューなどの食品でよく起こるという。
 
 
 
ウエルシュ菌食中毒は、カレーなどのように、常温放置の時間が長くなれば長くなるほど菌が爆発的に増えていきます。
 
 
 
東京都は17日、世田谷区の私立幼稚園で、園児と教職員計76人が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を発症したと発表した。世田谷保健所が食事の状況などを調べ、教職員らが調理したカレーライスが原因のウエルシュ菌による集団食中毒と断定した。
 
都によると、症状を訴えたのは3~6歳の園児67人、教職員9人。いずれも症状は軽かったという。
 
 7日、園内でカレーを調理。8日に開かれた「年長組を送る会」で再加熱して食べた後、症状を訴えた。複数の患者の便からウエルシュ菌を検出し、共通の食事はカレーのみだった。
 
 都によると、ウエルシュ菌は熱に強く、大釜などで大量に加熱調理する際に残存することがある。下痢などを起こすが、症状は比較的軽いという。
 
 
 
「ウエルシュ菌食中毒と言えばカレー」といったように、ウエルシュ菌食中毒はカレーが原因である場合が非常に多いです。
 
その理由は、カレーという料理独特の一晩寝かせたカレーが美味しい」というカレーならではの原因があります。
 
しかも、それを幼稚園という施設で行っていたというのは、学校給食経験者の僕としては驚きでした。
 

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いずれも原因はカレーのウエルシュ菌食中毒

 
まずウエルシュ菌食中毒とは、ウエルシュ菌に汚染された原材料を用いて調理し、それを常温で放置することで更に菌が増殖、それを食することで起こる急性胃腸炎です。
 
 
ウエルシュ菌は熱にも強いため、ノロウイルスのように90度以上で90秒以上の加熱でも菌は死滅しません。更に、常温で放置することにより菌は増殖します。
 
そしてウエルシュ菌は、肉や魚から多く検出されます。
 
そのことから、今回のような「一晩寝かせたカレー」というのは、ウエルシュ菌食中毒の危険性が高くなります。
 

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ウエルシュ菌食中毒は学校給食では起こらないはずだが···

 
最近話題になっている兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」では、色々とやらかしてしまっているようですが···、元学校給食調理員の僕が気になったのは、前日の給食の残りを使い回していた」という点でした。
 
そして今回の世田谷区の場合も、幼稚園で前日に作ったカレーを当日再加熱して食べたことによるウエルシュ菌集団食中毒となりました。
 
 
 
幼稚園では前日調理も当たり前なのかもしれませんが、僕が経験した学校給食(小中学校)という仕事では、前日調理は基本しません。
 
基本という言い方はちょっとアレだと思うんで、はっきり言いますと絶対に前日調理はしません。
 
当日食べるものは当日に調理するというが絶対的なルールとなっています。
 
少なくとも東京都の小中学校の学校給食ではこれが絶対的ルールです。
 
 
それに加え、学校給食では「喫食2時間前」というルールがあります。
 
給食を食べる2時間以内で料理を完成させなければいけないというものです。
 
例えば、12時が給食の時間だとしたら、早くとも10時以降にしか料理を完成させることができません。
 
 
このように、直前の調理が基本となる学校給食では、ウエルシュ菌による食中毒の危険性はほぼありません。
 
 
ですが今回のことで、この学校給食のルールは幼稚園では適用されていないということがわかりました。
 

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ウエルシュ菌食中毒は何故家庭では起こらないの?の疑問に答える

 
以前「ノロウイルスは病院の検査に意味がない」理由について詳しく説明したことがありますが、
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和歌山のノロウイルス食中毒事件から学ぶ正しい対応。実は病院の検査は意味がない!?

2017.01.31
その理由というのは、ノロウイルスやウエルシュ菌といった食中毒は、検便による検査で明らかにします。
 
最初の診察で医者が示す診断はこうです。
 
「胃腸炎ですね。食中毒の可能性もありますから、検便検査しますか?」
 
こう言われます。
 
 
その検便検査というのは、結果が出るまでに数日かかります。
 
ですので、病院で検便検査をして結果が出る頃には、もう体調は元に戻っています。
 
そういう理由で病院の検査には意味がないと話しました。
 
 
 
家で一晩も二晩も寝かせたカレーを食べても食中毒になんかかからないじゃないか!」
 
こういう意見をよく聞きます。
 
ノロウイルスもウエルシュ菌も、摂取した人全てが発症するわけではありません。
 
そもそも、集団と個人家庭では、その対象者の人数が大きく違うから知らないだけなのだと僕は思います。
 
 
例えば、100人の人間がウエルシュ菌に汚染された同じカレーを食べて、33人の人間が発症したとします。
 
3人に1人の計算です。
 
これが3人家庭の場合、発症者は1人だけです。
 
 
 
こういう経験はありませんか?
 
前日のカレーを夜食べて、朝子供がお腹が痛いと言って病院に行ったら「胃腸炎ですね」と言われ、薬を飲んで数日したら治った。
 
こういう経験ありませんか?
 
 
検査をしなかったから知らないだけで、これは何らかの食中毒の可能性があります。
 
ただ集団ではなかったから検査をしなかっただけで、実は家庭でもウエルシュ菌食中毒を密かに発症している場合もあるんです
 
ただ、集団ではなかったために発覚していないだけで。
 

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家庭でウエルシュ菌食中毒を防ぐには

 
ウエルシュ菌食中毒とは、ウエルシュ菌に汚染された原材料を用いて調理し、それを常温で放置することで更に菌が増殖、それを食することで起こるものです。
 
これを防ぐためには、調理したその日の内に食べきる。
 
これが一番安全です。
 
残す場合であっても、常温放置は厳禁です。
 
残ったら密封して冷蔵庫で保管しましょう。
 
そして食べる時の再加熱もしっかり行いましょう。
 
 
ウエルシュ菌食中毒は、食中毒の中でも比較的軽度な症状のため、個人の家庭では発覚することが少ないようです。
 
 




テルオ的まとめ

 
今日はウエルシュ菌食中毒についての話でした。
 
 
食中毒は温度や時間の経過によって爆発的に菌やウイルスが増殖していきます。
 
そのため、何百何千食と作る集団調理では、大量の料理の温度を計ることの難しさ調理時間が長くかかること調理に関わる人間も多くなる
 
こういった理由により、集団調理では細心の注意を払わなければ食中毒の危険性が高くなります。
 
 
少なくとも、僕の経験した東京都内の小中学校の学校給食では当日の調理が絶対ですので、ウエルシュ菌食中毒の危険性は限りなく低いと思います。
 
幼稚園においても、学校給食ルールを見習い、前日のカレーを使い回すといった方法をこの際改めるべきではないでしょうか。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

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