東京都立川市で集団食中毒発生!原因は焼き海苔(刻み海苔)でノロウイルス!原因メニュー特定に元学校給食調理員が挑戦。

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こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
 
 
和歌山県御坊市で集団食中毒が発生したばかりですが、今度は東京都立川市の小学校で集団食中毒事件が発生しました。
 
東京都立川市教育委員会は18日、学校給食で同じメニューを食べた市立小学校7校の児童2798人のうち788人と、教職員47人の計835人が嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴え、児童5人が入院したと発表した。いずれも症状は軽いという。市教委は市営の給食共同調理場が17日に作った給食による集団食中毒と見て都多摩立川保健所と共に原因を調べている。
 
 
発表はまだですが、その症状から、ノロウイルスかサルモネラ食中毒の可能性があります。
 
今日は、元学校給食調理員の私が早速原因メニューの特定に挑戦してみたいと思います。
 




 

2月18日、同じ給食を食べた東京都立川市の小学校7校で、児童教職員合わせて835人が下痢や嘔吐の症状を訴え、児童5人が入院した。
 
立川市の被害が報告されている小学校は、第九小学校、第十小学校、けやき台小学校、南砂小学校、若葉小学校、松中小学校、新生小学校の7校。
 
立川市教育委員会は、17日の給食が原因と見て調べている。
 
 
被害のあった7校の給食を作っているのは、立川市の「学校給食共同調理場」(同市泉町)という給食センターで、17日のメニューは7校で同じメニューだった。
 
「鶏肉のトマト煮」「パセリポテト」「フルーツポンチ」が共同調理場で作られ、牛乳とミルクパンは外部業者から提供されたものを使用。
 
立川市教育委員会は共同調理場を24日まで閉鎖し、それまでの5日間で原因を特定する見通し。

2月24日追記→東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。

2月28日追記→16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
 
 
2017年1月25日に発生した和歌山県御坊市の集団食中毒事件、2017年2月18日に東京都立川市で発生した集団食中毒事件、2017年2月23日に東京都小平市で発生した集団食中毒事件。この3件全ての食中毒の原因は「同じ業者が製造している刻み海苔」であることが判明し、その業者の製造過程でノロウイルスが混入したことが原因であると判明しました。

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立川市学校給食共同調理場とは

 
まず、立川市の学校給食共同調理場とはどんな施設なのか見てみましょう
 
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外観はとても立派な施設のようです。
 
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調理場も立派です。
 
天井も高く、調理の大釜と大釜の間隔も広くとられているようです。
 
これが狭いと導線を確保するのが難しいんですが、これだけ広ければ衛生的な導線を確保しやすくなります。
 
 
また、施設が広いということで、掃除の面でも衛生を確保しやすくなります。
 
広いというのは一般的に、掃除をする範囲が広くて面倒と思われるかもしれませんが、調理の機械の下の掃除がしやすく、また、広く全体隅々が見渡せる施設では、汚い箇所が目立ってしまうため掃除のやり残しが少なくなります。
 
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調理実習の研修施設も内部に設けられているようです。
 
とても理想的な施設ですね。
 
衛生面と調理員の技術向上に取り組もうとする立川市の本気度がこの写真からも伝わってきます。
 
 
ですが、実際に調理を行うのは立派な施設ではなく、人間です。
 
こんなに立派な施設で、こんなに立派な教育環境が整っていても起きてしまうのが食中毒んです。
 
 

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元学校給食調理員が立川市の集団食中毒原因メニュー特定に挑戦

 
集団食中毒が発生した7校全てで、17日のメニューは同じだったということです。
 
そのメニューとは、「鶏肉のトマト煮」「パセリポテト」「フルーツポンチ」の3つです。
 
 
原因の特定には5日かかるということなので、以前の和歌山県御坊市の集団食中毒の原因特定に成功した実績のある元学校給食調理員の私が、早速原因メニューの特定に挑戦してみようと思います。
 
学校給食の料理の作り方から原因を探っていきます。

2月24日追記→
東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。

2月28日追記→
16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
 

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原因メニューの可能性1「鶏肉のトマト煮」

 
一般的な学校給食の「鶏肉のトマト煮」の作り方を簡単に説明すると、まず鶏肉を炒め、次に野菜を炒めていきます。
 
次に、鶏肉と野菜が炒まったところで、別釜で朝からグツグツ何時間も煮込んでいたガラスープを加えて更に煮込みます。
 
調理員や栄養士の好みによりますが、トマトの酸味を飛ばしたい場合には早めにトマト系の調味料を加えて煮込んでいきます。
 
 
学校給食では最終的に温度の確認を必ず行います。
冬場だとノロウイルスの危険性が高まる季節なので、90度以上で90秒以上」の温度を最後に確認して仕上がりとなります。
 
ちなみに、サルモネラ菌は「75度以上で1分以上の加熱」で死滅します。
 
 
給食センターの場合には何校もの給食を一度に作るため、1つの釜では足りずに複数の釜に分けて同時進行で作っていく場合もあります。
 
最終的な温度の確認をきちんと行っていれば、「鶏肉のトマト煮」が原因となる可能性は低いのではないかと推測します。
 
 

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原因メニューの可能性2「パセリポテト」

 
次に「パセリポテト」です。
 
「パセリポテト」というメニュー名しか情報がありませんが、おそらく「こふきいも」ではないかと予想します。
 
一般的には青のりを使った「青のりこふきいも」が学校給食の一般的なメニューですが、ここでは青のりの代わりにパセリを使ったのではないかと予想します。
 
 
作り方を簡単に説明すると、まず、じゃがいもを切って蒸します。
 
パセリも手でちぎってフードプロセッサーで細かくしておきます。
 
蒸したじゃがいもとみじん切りのパセリを火にかけながら混ぜ合わせて塩で味を整えて完成です。
 
 
衛生的観点から言えば、本来は仕上がりの最後の段階に温度を確認するのが基本で理想なんですが、こふきいもはスープ系の料理と違って仕上げの段階で温度を90度に上げることは非常に困難です。
 
なので、こふきいもで90度に温度を上げたければ、じゃがいもを蒸した段階で90度を確認し、パセリは別で茹でて90度をそれぞれ確認しておきます。
 
それぞれ90度は達成しているので、後は混ぜるだけといった方法を用います。
 
 
ですがこの場合、和歌山県御坊市集団食中毒の原因メニュー「磯和え」同様、仕上がった温度確認後の❝混ぜ合わせる❞という工程が必要なこふきいもは、特に衛生的な作業が必要となります。
 
混ぜ合わせるのに使う釜や調理器具は消毒済みの衛生的なものを使うのは勿論、素手での作業も絶対禁止となります。
 
この作業の衛生が不十分だったり、混ぜ合わせた後の最終段階での温度確認という方法をとっていた場合、温度が90度までは上がらずにノロウイルスが残ってしまった可能性はあります。
 
 

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原因メニューの可能性3「フルーツポンチ」

 
次に「フルーツポンチ」を見ていきます。
 
 
一般的な学校給食でのフルーツポンチの作り方とは、まず中身のフルーツ(桃、みかん等)は缶詰を使用します。
 
缶詰のフルーツは茹でて温度を上げることはしないので、缶切りで缶詰を開ける所から衛生的な作業が求められます。
 
シロップは、通常は水と砂糖を火にかけて現場で作ります。温度を確認して水冷などで粗熱を取った後に冷蔵庫などで冷やしていきます。
 
シロップが冷えたらフルーツと混ぜ合わせて完成となります。
 
 
シロップではなく市販のサイダーを使う場合もあります。
 
その場合には、全ての食材は火にかけられることなく混ぜ合わせるだけといった作業になります。
 
 
このフルーツポンチもこふきいも同様、混ぜ合わせる作業がありますが、こふきいもに増してその作業は注意が必要です。
 
こふきいもとの一番の違いは、最初から生食の扱いだということです。
 
缶詰を開ける作業の時点から衛生的な作業が求められるので、ノロウイルス感染拡大のリスクは非常に高くなります。
 
 
まず、缶詰の缶自体を消毒する作業から始まり、缶切り、缶詰に元から入っている汁を切るためのザル、タライ、サイダーや別で作ったシロップと混ぜ合わせるための器具類、といったように、多くの調理器具が必要になり、その全ての調理器具は消毒済みの衛生的なものを使用しなければなりません。
 
このため、フルーツポンチは非常にリスクのあるメニューとなります。
 
 

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原因メニューの特定結論

 
まず結論の前に、 
仕上がり後の作業が多ければ多い程食中毒のリスクは高くなります
 
温度を上げる作業の無いフルーツポンチの仕上がりとは、缶詰を開ける段階から始まっています。
 
もしこの段階でノロウイルスの付着した手で缶詰を開ける作業をすれば、ノロウイルスはフルーツ全体に広がり、これ以降温度を上げる工程が無いのでそのまま児童の口に入ることになります。
 
よって原因はフルーツポンチ
 
・・と言いたいところですが、一つ気になる点があります。
 
それは、「17日の夕方から症状が出始めている」という点です。
 
 
何故立川市教育委員会が17日の給食が原因の可能性大としているかは分かりませんが、もし17日の給食が原因だとすると、ノロウイルス食中毒としては潜伏期間が短いいように感じます。
 
 
よって結論としては、
「鶏肉のトマト煮」の可能性が大きいと考えられます。
 
この場合、鶏肉のサルモネラ食中毒ということになります。 

2月24日追記→
東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。

2月28日追記→
16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
 
 
サルモネラ菌は「75度以上で1分以上の加熱」で死滅するので、きちんと温度さえ確認していれば問題は無いんですが、「トマト煮」ということで、焦げることを恐れて温度を上げきれなかった可能性があります。
 
その場合、スープの温度はギリギリ75度に達していても、鶏肉の中心までは温度が上がっていなかった可能性があります。
 
 
元学校給食調理員としての経験から言わせてもらえば、このようなミスは通常考えられませんが、ノロウイルスでないとすれば考えられる原因は、トマト煮の「鶏肉」ということになります。
 
 
 
原因の可能性のあるメニューを大きい方から順番に並べるとすれば
 
鶏肉のトマト煮フルーツポンチパセリポテト
 
の順番となります。
ノロウイルスでもサルモネラでも、調理を行う上で温度計は食中毒を防ぐための最後の砦的な必須アイテムです
 
学校給食では、「90度以上90秒以上の加熱」でノロウイルスを死滅させられるため、必ず中心(一番厚みのある部分)の温度を計って仕上がりとなります。
サルモネラ菌の場合は「75度以上1分以上の加熱」で菌は死滅します。
 
いくら手を洗っても防ぎきれない部分もあるのでノロウイルス感染防止には温度計は必要不可欠です。
 
 
 
 
この温度計は実際に僕が学校で使用していたものと同じものですが、他の温度計よりも圧倒的に使いやすいある特徴があります。
 
それは、他の温度計だと、例えば魚の温度を測ろうとして魚に温度計を挿すと、デジタル表示が「55..65..70..72..」といった具合に緩やかに上昇していくんですが、この温度計は実際の現時点の魚の温度まで一気に上昇します。
 
 魚の温度が80度であれば指した瞬間に80度まで一気に上昇します。
 
非常に明確で分かりやすい温度計です。
家庭でも温度管理で食中毒を予防しましょう!

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学校給食調理員おすすめ調理器具!ノロウイルス食中毒対策はこれでバッチリ!

2017.02.06
 
 




立川市集団食中毒事件まとめ

 
今日は、18日に発覚した東京都立川市の集団食中毒の原因の特定に挑戦してみました。
 
おそらくその症状の出始めた期間から言って、サルモネラ食中毒の可能性が濃厚だと思われます。

2月24日追記→
東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。

2月28日追記→
16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
 
 
ノロウイルスの場合には生食の扱いには特に神経質にならなければいけません。
 
しかも学校給食のような大量調理の場合には、フルーツポンチの缶詰のように大量に開缶することになるので、人間の集中力が何十缶もの開缶の間持続させるのは難しくなります
 
しかも、その後にはノロウイルスを死滅させられる90度まで温度を上げる作業がないばかりか、更にシロップと混ぜ合わせる工程も存在します。
 
大量調理になればなる程集団食中毒の危険性は高まるので、そのリスクの高い生食の扱いは今後、全国的に控える方向に向かうのではないでしょうか。
 
というか、そうならなければ集団食中毒はこれからも発生し続けることになるでしょう。
 
 
サルモネラの場合にも加熱が重要になります。
ギリギリの温度では鶏肉の中心まで温度が上がらない可能性があるため、十分に温度を上げることが重要となります。

 

2月28日追記 原因は焼き海苔(刻み海苔)によるノロウイルスと判明!

2017年1月25日に発生した和歌山県御坊市の集団食中毒事件、2017年2月18日に東京都立川市で発生した集団食中毒事件、2017年2月23日に東京都小平市で発生した集団食中毒事件。この3件全ての食中毒の原因は「同じ業者が製造している刻み海苔」であることが判明し、その業者の製造過程でノロウイルスが混入したことが原因であると判明しました。
 

2月23日追記→
立川市教育委員会は21日、犠牲者は同日正午時点でさらに増え、発症した児童は970人、教職員は77人、合わせて1047人になったと発表した。重症者はいない。
入院していた児童8人のうち、同日までに5人が退院し、重症者はいない。
多摩立川保健所が原因を調べており、結果は23日ごろに明らかになる見込み。

2月24日追記→
一時は児童9人が入院していたが、22日までに全員が退院し、重い症状の人はいないということです。
保健所は学校給食が原因の集団食中毒の疑いがあると見て調べていますが、原因の特定にはもうしばらく時間がかかる見込みだという。
このため立川市教育委員会は、当初24日までとしていた給食の提供を中止する期間を、来月3日まで延長することに決定した。

2月24日追記→
東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。
現時点で患者は1098人となり、1000人以上の集団食中毒は都内では1978年以来39年ぶりです。
給食を作った共同調理場は3月3日まで業務を自粛するということですが、調理従事者の便や食品からはノロウイルスが検出されておらず、都は引き続き原因を調査しています。

2月28日追記→
16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
疑問通り、やはり16日提供の給食が原因でした。
 
 
こうなってくるといよいよ、教育委員会はなぜ17日の給食によるものだと早々に特定したのかということが問題になってきます。

集団食中毒が発生した場合、この時期真っ先に疑うのはノロウイルスです。

17日の夕方から症状が出始めたことを考えると、16日の給食を疑うのが常識です。

最初から16日の給食を疑っていれば、ここまで原因特定に時間がかかることはなかったのではないでしょうか。

これは教育委員会の失態と言わざるを得ません。
 
 

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