学校給食基準【使い捨て手袋の使い方】ノロウイルス食中毒予防対策

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こんにちは。学校の給食室で使い捨て手袋の使い方について何度も栄養士に注意を受けて心が折れそうになった元学校給食調理員の雲藤テルオです
 
 
皆さん、使い捨て手袋、使ってますか?
 
 
ノロウイルス予防対策として、とくに「食品を素手で触らない」というのはもう常識になっていますが、世界的大流行の新型コロナウイルスにより素手で触っちゃダメゼッタイ!」というのが強く叫ばれるようになりましたね。
 
お母さん
ちゃんと手袋使ってるよ〜♪
テルオ
ほんとに?

手袋を手に着ける時に手袋の表面素手で触ってない?

手袋した手でいろんなものベタベタ触ってない?

お母さん
あっ…

確かに(;・∀・)

 
お母さんだけではなく、飲食店でもスーパーのお惣菜コーナーでも、見ていると正しく使い捨て手袋を使えている方はなかなかいないのが現実です。
 
テルオ
いや、それじゃ意味ない…

ってゆーか、それなら使わない方がまだマシ…

 
そういうところの使い捨て手袋やマスクは、ほぼ “見た目” のために使用していると言っても過言じゃありません。
 
菌やウイルスは目に見えないので気持ちはわかりますが、見た目じゃ食中毒は予防できません。
 
 
 
ということで今回は、食中毒予防のための正しい使い捨て手袋の使い方について詳しく解説します。
 
テルオ
他にも、衛生管理に厳しい学校給食の調理現場でも行っている食中毒予防対策も最後に紹介しているのでそっちも是非見てってね!(^^)/

使い捨て手袋は何のために使うのか?

 
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使い捨て手袋とは何のために使うのか。
菌やウイルスを手につけない為。

手についているかもしれない菌やウイルスを他のものに移さない為。(感染を広げないため)

 
つまり使い捨て手袋も利用目的はマスクと同じですね。
 
マスクの場合は口(呼吸)を守り、手袋の場合は手を守りますが、手というのは最終的に人間の口へとつながります。
 
 
 
菌やウイルスが付いた手で料理をし、それが口へと運ばれる。
 
いくら自分が手洗いをし清潔にしていたとしても、例えば誰かが汚い手で触ったテレビのリモコンを触れば間接的に自分の手は汚染されます。
 
たとえ料理の直前に手洗いをしたとしても、手指は皮脂や汗、爪の間の汚れなどが徐々に浮き上がってくるものです。
 
爪ブラシを使い入念にゴシゴシ手洗いをする意識の高い人もいるでしょう。でもゴシゴシ洗いすぎると手に傷がつきそこからバイ菌が繁殖します。
 
その手で料理を作り、または爪をかみ、または指をペロリと舐め、または顔や目を手でゴシゴシと擦る。
 
テルオ
つまり、菌やウイルスは全て「人間の口」というゴールに向かって突き進んでるんだ!Σ(゚Д゚)
 
菌やウイルスの導線はたくさんありますが、それら全てのゴールは人間の口に設定されています。
 
人間の口は “バイ菌ホイホイ” と言っても過言じゃありません。
 
 
 
なので、万が一手に菌やウイルスが付着していたとしても、食事を作るときに使い捨て手袋をうまく使うことによって、菌やウイルスが人間の口へ向かうリスクを下げることができます。
 

使い捨て手袋の種類

 
「使い捨て手袋」は主に
 
ポリエチレン製の手袋(ビニール手袋)
ニトリル製の手袋(ゴム手袋)
 
の2種類があります。
 

ポリエチレン製の使い捨て手袋

一般的な使い捨て手袋というのはこういうポリエチレン性の手袋ですね。
 

 
ニトリル製とは違い手に密着しないので、簡単に脱着が可能なのが特徴です。
 
手から外してもまた着けやすいので、単純に何かを「触る」「持つ」だけ、といった作業の使い回しに便利ですね。
 

ニトリル製の使い捨て手袋

ニトリル製の手袋とは、手に密着するタイプの手袋です。
 

 
ピタっと手にフィットするのが特徴で、医療ドラマの手術シーンとかでよく外科医が手に着けているやつです。
 
手に密着していて簡単には脱げないので、ハンバーグの具などを「こねる」といった作業や、指先を使う作業、包丁を使う作業などに向いています。
 
ニトリル製のように着け外しが難しいので使い回しはせずに外したら捨てるというのが基本です。
 

ロングタイプの使い捨て手袋

 
他にはこういう、肘くらいまで長さのあるロングタイプの使い捨て手袋もあります。
 

 
一般家庭ではなかなかロングタイプを使うシーンは少ないと思いますが、学校給食だと大量のハンバーグの具を両手でこねたり、何かを両手で混ぜ合わせたりといった肘の辺りまで食材が触れる場合に使います。
 
家庭だと風呂掃除やトイレ掃除のときになどに使うと便利ですね。
 

使い捨て手袋の衛生的な「着け方」

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掃除のときに着けるゴム手袋や使い捨て手袋は自分の手を守る目的で使うのであまり関係ありませんが、料理のときに着ける使い捨て手袋というのは、主に自分の手に付いている菌やウイルスを料理に移さない目的で使います。
 
なので、料理に使う使い捨て手袋の表面は清潔でなくてはいけませんよね。
 
 
 

使い捨て手袋は通常、箱の中にこのようにして入っていますね。

 
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手袋の箱が家に無かったのでこのティッシュ箱を使い捨て手袋の箱だと思ってください(^_^;)
 
 
使い捨て手袋はこのようにして素手で取り、
 
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このようにして手に着けますよね。
 
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そうすると、最初に素手で掴んだ真ん中の部分と、手袋を着けるときに触りまくった手首の部分
 
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少なくともこの斜線部分は素手で触っているので汚染されています。
 
実際にはこの斜線部分よりももっと汚染範囲は広くなるでしょう。
 
テルオ
この手袋を着ける際の手袋表面の汚染を意識していない人が結構多いよ!(゜o゜)
 
指先の第一関節だけを使った作業であればこれでもいいかもしれませんが、実際には汚染箇所はこのように斜線が入るわけじゃないので、意識していたとしても気付かないうちに汚染が広がる可能性はあります。
 
 
もう少し完璧を目指したいのであれば、手袋をした手で更に手洗いをすることによって汚染箇所を最小限に減らすことができます。
 
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手首のギリギリまで洗ってしまうと、手と手袋の隙間に水が入り込み作業中に手袋の中から水が出てきてしまうので逆に不衛生です。
 
なので、この斜線部分の汚染はどうしても残ってしまいます。
 
 
更に完璧を目指すのであれば、手袋をした手でまた手袋をし2重にします。
 
更に念のためもう一度手洗いすることで、ほぼ100%に近付きます。
 
 
脱着が容易なポリエチレン性の手袋を使い回す場合には、脱着の際に手袋表面に素手で触らないようにしましょう。
 
テルオ
中居くんの言葉を借りるなら、一つの食中毒予防ではその予防効果は1%〜99%の中にあるので、もちろん0じゃないけど100でもないよ!
 
なので、食中毒予防対策は使い捨て手袋と合わせて食品の「加熱」「消毒」も同時に行いましょう。

使い捨て手袋の衛生的な「使い方」

 
とくに料理を作る際に使い捨て手袋を使用する場合には、次の6点に注意してみましょう。
 
着ける必要のある場面でだけ着ける
食材毎に取り替える
使い回しはしない
手袋の使用前使用後は手を洗う
手指に傷がある場合
完成品は素手で触らない
 

着ける必要のある場面でだけ着ける

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最初に話した飲食店やスーパーのお惣菜コーナーでの使い捨て手袋の使い方が良くない店員さんが多いという話ですが、何が良くないのかというと、使わなくてもいい場面で使っているということです。
 
「手袋をしているから大丈夫」という安心感から、一度手袋をはめればずっとはめっぱなし。同じ手袋で様々な作業を行う人が多いです。
 
食材を触り、
食器を触り、
ゴミを触り、
冷蔵庫の取っ手を触り…
 
などなど、同じ手袋で様々な箇所を触ります。
 
 
使い捨て手袋は使う必要のある場面でのみ使いましょう。無駄に使う必要はありません。
 
野菜を切る時など、その後炒めたり煮たりと加熱するのであれば素手でも構いませんよね。
 
冷蔵庫の取っ手やドアノブは手袋をして触る必はないですよね。
 
 
もちろん野菜や冷蔵庫の取っ手やドアノブを使い捨て手袋を着けて触るのは全然構わないわけですが、同じ手袋をしたまま他の作業をしないようにしましょう。
 

食材毎に取り替える

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「その後加熱するから野菜を切る時に手袋をする必要はない」と言いましたが、汚染度の高い「肉」や「魚」を処理する時には使い捨て手袋を使いましょう。
 
肉や魚に使い捨て手袋を使うのは、手が汚染されてその汚染を他に広げないためです。
 
生食の魚であれば、下処理に使う手袋と、加熱しない生食する身の部分で使う手袋は分けて使いましょう。
 

使い捨て手袋は使い捨てる

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トイレ掃除と料理とで同じ手袋を使い回す “愚か者” はいないと思いますが(笑)、使い捨て手袋は
 
目的のもの以外には触らない
異なる食材での使いまわしはしない
外したら捨てる
 
というのが基本です。
 
 
外したり着けたりを繰り返す目的で使う脱着が容易なポリエチレン製の使い捨て手袋でも、長時間使っていると破けたり手袋の内部が汗で雑菌が繁殖したりするので、ある程度のところで新しいものと交換しましょう。
 

手袋の使用前使用後は手を洗う

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もし手にウ○コがついてたら
 
お母さん
実はお母さん今手にウ○コついてるけど使い捨て手袋してるから大丈夫よ♪
息子
なら安心だね♪
 
とはなりませんよね?(笑)
 
 
これは極端な話ですが、ただでさえ手袋を着けている時間が長ければ長いほど手袋の内部は汗で雑菌が繁殖するので、手が汚ければ当然雑菌の繁殖スピードは増します。
 
なので手袋をする前と後には手洗いをしましょう。
 
使い捨て手袋をするからと言って手が汚くてもいいわけではなく、手袋を着けている時には気をつけていても外せば手は無意識にいろんなところに触れるものなので、基本素手は清潔に保っておくようにしましょう。
 

手指に傷がある場合

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手指に傷がある場合には傷口は雑菌が多いので、手に密着するタイプのニトリル製の手袋を料理を作っている最中はずっとしておくのが良いでしょう。
 
「ずっと手袋を着けておく」ということは、つまりそれは「どこにでも触れる」ということになり素手扱いなので、そういう使い捨て手袋の使い方をする場合には、そのまた上から目的に合わせて手袋を2重にするのが基本です。
 

完成品は素手で触らない

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いくら肉や魚を手袋で触っても、傷口を手袋で隠したりして注意していても、口に入る直前の完成品の料理を素手で触ってしまってはせっかくの食中毒予防の精度が落ちてしまいます。
 
なので、完成品(加熱後、または生食)は素手では触らないようにしましょう。
 

他にもできる!「学校給食基準」の食中毒予防対策

「手洗い」と「トイレの使い方」で食中毒予防

 
使い捨て手袋を使う場合ももちろん「手洗い」が必要ですが、「正しい手洗いの方法」って意外と知らない人が多いんじゃないでしょうか?
 
それに加え、菌やウイルスが最も多い場所が「トイレ」です。「正しいトイレの使い方」も知っているのと知らないのとでは食中毒予防の精度に差が出ます。
 
食中毒予防のための「正しい手洗いの方法」「正しいトイレの使い方」も是非参考にしてみてください

「消毒」で食中毒予防

 
食中毒予防のためには「消毒」も大切です。
 
用途別の次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)の濃度と希釈の計算方法も覚えておくと便利です
 
 
できれば人体に危険な次亜塩素酸ではなく、ノロウイルスも除去できるというキューピーのアルコール消毒ケイブランシュがおすすめ!
 

料理の「加熱」で食中毒予防

 
食中毒予防のためのには使い捨て手袋と合わせて、料理の「加熱」も大切です。
 
テルオ
「加熱」というのが食中毒予防のための “最後の砦” だよ!
 
料理を加熱する際の「温度」「時間」「どこを」「どんな風に測るか」などを詳しく解説しているのでこちらも参考に

 
 
 
 
 
 

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