■2月24日追記→東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。
■2月28日追記→16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
今日は前回に引き続き、東京都立川市の小学校7校で発生した集団食中毒について話していきます。
集団食中毒を起こした業者は「グリーンハウス」と判明しました。
僕は学校給食調理員の仕事に就いていましたが、実はこのグリーンハウスにも面接に行った経験があります。
そして結果は、グリーンハウスには採用されることはなく別の給食会社に就職しました。
おそらく飲食業を営んでいる人は、グリーンハウスという会社名は知らない人はいないのではないかと言うほどの大企業です。
今日はそんなグリーンハウスについて、どんな会社なのか詳しく話していきたいと思います。
これまでに分かっている立川市の集団食中毒事件の内容
東京都立川市教育委員会は18日、学校給食で同じメニューを食べた市立小学校7校の児童2798人のうち788人と、教職員47人の計835人が嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴え、児童5人が入院したと発表した。いずれも症状は軽いという。市教委は市営の給食共同調理場が17日に作った給食による集団食中毒と見て都多摩立川保健所と共に原因を調べている。
2月20日時点で判明している被害者の数は、児童教職員合わせて943人と、当初の835人から大幅に増加しています。
そして、この中の4つの小学校では教員の体調不良で指導の体制が整わず、多数の児童の欠席も予想されることから、20日は臨時休校となっています。
原因食材の特定には5日程の時間が必要だということですが、未だ食中毒の種類も判明していません。
僕は前回「サルモネラ食中毒」であるとの仮定の元、原因メニューを鶏肉のトマト煮の「鶏肉」と結論付けてみました。
そして新たに、その給食を作っていた給食センターの業者が「株式会社グリーンハウス」と判明しました。
今日は「グリーンハウス」とはどんな会社なのかを話していきたいと思います。
2017年1月25日に発生した和歌山県御坊市の集団食中毒事件、2017年2月18日に東京都立川市で発生した集団食中毒事件、2017年2月23日に東京都小平市で発生した集団食中毒事件。この3件全ての食中毒の原因は「同じ業者が製造している刻み海苔」であることが判明し、その業者の製造過程でノロウイルスが混入したことが原因であると判明しました。
■2月24日追記→東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。
■2月28日追記→16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
給食センターの業者「グリーンハウス」とはどんな会社?
以前グリーンハウスの面接の際に、このような立派な資料を頂きました。
この資料を元にグリーンハウスという会社を見ていきたいと思います。
創業者は田沼文蔵さんという方です。
現在は、故 田沼文蔵さんに代わって社長を務めている方は、その息子さんの田沼千秋さんです。
グリーンハウスは慶應義塾大学の学食から始まりました。(1947年)
そしてその学食の人気メニューだった「とんかつ」でレストランを開業します。(1966年)
とんかつレストラン1号店「とんかつ新宿さぼてん」を新宿にオープンさせます。
グリーンハウスは知らない人でも「さぼてん」は知っているのではないでしょうか。
現在では「とんかつ新宿さぼてん」は東京首都圏を中心に全国展開している人気とんかつチェーンに成長しました。
現在でも1号店はさぼてんの本店として新宿小田急エースの南館で営業を続けています。
すり胡麻ソースでお馴染みのさぼてんは、あのイベリコ豚をとんかつで食べられる唯一のとんかつチェーン店ではないでしょうか。(未確認)
ちなみに、さぼてんのイベリコ豚は「どんぐり」ではなく「小麦」を食べて育っています。
イベリコ豚にもいろいろ事情があるようです。
その後、本社を新宿の「東京オペラシティ」へ移転します。(1996年)
僕が面接したのもこのオペラシティビルの本社でした。
超高層ビルで立派な本社に圧倒されたことを覚えています。
その後さぼてんは韓国のソウルに海外初出店を果たします。(2001年)
その後もさぼてんは海外進出を進め、現在ではタイ、シンガポール、中国、マカオに進出しています。
グリーンハウスの「給食」事業
グリーンハウスの基本事業は大きく分けて、
■各企業の社食を運営する「コントラクトフードサービス事業ビジネス部門」
■病院やシルバー施設や学校の給食を運営する「コントラクトフードサービス事業ヘルスケア部門」
■さぼてん等の「レストラン事業」
■ホテル運営の「ホテルマネジメント事業」
この中のヘルスケア部門か、もしくはビジネス部門が学校給食を運営しています。
名前が「ヘルスケア部門」「ビジネス部門」と言うように、その中での学校給食の割合は小さいもので、基本は病院やシルバー施設の食事提供、企業や大学の学食の食事提供事業がメインです。
僕も面接時はヘルスケア部門を希望していました。
給食センター運営は面接時に知った程で、小規模な展開でした。
それでも現在でもいくつかの給食センターを運営しているようです。
給食業界に何年か身を置いた僕の印象だと、グリーンハウスという会社は、今回のような集団食中毒を起こすイメージはありませんでした。
僕の学校給食現役中にも世間では何度も食中毒の事件があり、仕事柄、その業者名も情報として耳に入ってきていましたが、グリーンハウスの不祥事は聞いたことがありませんでした。
資金も豊富でノウハウもある
そんな会社でも起こてしまうのが食中毒の恐ろしいところです。
2017年1月25日に発生した和歌山県御坊市の集団食中毒事件、2017年2月18日に東京都立川市で発生した集団食中毒事件、2017年2月23日に東京都小平市で発生した集団食中毒事件。この3件全ての食中毒の原因は「同じ業者が製造している刻み海苔」であることが判明し、その業者の製造過程でノロウイルスが混入したことが原因であると判明しました。
グリーンハウスを擁護したくなる理由
僕の以前の勤め先の学校給食会社は「給食事業」しか行っていない小さな会社のため、今回のような集団食中毒事件を起こせばひとたまりもありません。
なので、「一度でも不祥事を起こせば会社が無くなる!」との危機感を常にみんな抱いていました。
一方グリーンハウスの場合、給食事業は一部で、他にもいくつもの分野の事業を展開しています。
そのどれもが「食」にまつわる事業なので影響は少なからずあるでしょうが、潰れるといったことは無いでしょう。
この辺の❝甘え❞も確かにあったのかもしれません。
しかし、学校給食を経験した僕は、どうしてもグリーンハウスを擁護したくなってしまいます。
一般的には、「食事を提供しているんだから食中毒なんてあってはならないこと!」だと言うでしょう。
勿論、異物混入や温度管理不足による事件は擁護出来ません。
❝目に見える❞確認を怠ったわけですから。
しかし、和歌山の食中毒の原因の磯和えのように、完成後の作業工程の多い料理や、そもそもノロウイルスが死滅すると言われている「90度以上で90秒以上の加熱」ができない生食のように、❝目に見えない❞ノロウイルス等の危険が付いて回る食事を提供しなくてはいけない学校給食のあり方では、食中毒は防ぎきれません。
手洗いでも完璧には防ぎきれないのがノロウイルスです。
手洗いでも完璧には防ぎきれない理由はこちら↓
今回の場合にはまだ原因が特定されていませんが、もし手洗いの不足によるノロウイルス集団食中毒だった場合、僕は正直、グリーンハウスを責める気にはなれません。
■2月24日追記→東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。
■2月28日追記→16日提供の給食「親子丼」の「焼き海苔」が原因であると判明しました。
学校給食のトイレ使用(手洗い)のルールはこちら↓
でも、
鶏肉の温度管理不足によるサルモネラ食中毒の場合にはガンガン責
めさせてもらいますが。
ノロウイルスでもサルモネラでも、調理を行う上で温度計は食中毒を防ぐための最後の砦的な必須アイテムです
。
学校給食では、
「90度以上90秒以上の加熱」でノロウイルスを死滅させられるため、必ず中心(
一番厚みのある部分)の温度を計って仕上がりとなります。
サルモネラ菌の場合は
「75度以上1分以上の加熱」で菌は死滅します。
いくら手を洗っても防ぎきれない部分もあるのでノロウイルス感染
防止には温度計は必要不可欠です。
この温度計は実際に僕が学校で使用していたものと同じものですが、他の温度計よりも圧倒的に使いやすいある特徴があります。
それは、他の温度計だと、例えば魚の温度を測ろうとして魚に温度計を挿すと、デジタル表示が「55..65..70..72..」といった具合に緩やかに上昇していくんですが、この温度計は実際の現時点の魚の温度まで一気に上昇します。
魚の温度が80度であれば指した瞬間に80度まで一気に上昇します。
非常に明確で分かりやすい温度計です。
グリーンハウスまとめ
飲食業を営んでいる方ならば誰でも知っている有名企業グリーンハウス。
そんな大企業が引き起こした今回の立川市集団食中毒事件。
本社内は寝る暇もない程対応に追われていることでしょう。
勿論、一番に考えなくてはいけないのは、お客様である被害者の児童に他なりません。
誤解がないように一応それだけは最後に言っておきます。
2017年1月25日に発生した和歌山県御坊市の集団食中毒事件、2017年2月18日に東京都立川市で発生した集団食中毒事件、2017年2月23日に東京都小平市で発生した集団食中毒事件。この3件全ての食中毒の原因は「同じ業者が製造している刻み海苔」であることが判明し、その業者の製造過程でノロウイルスが混入したことが原因であると判明しました。
2月28日追記 原因は焼き海苔(刻み海苔)によるノロウイルスと断定!
■2月23日追記→
立川市教育委員会は21日、犠牲者は同日正午時点でさらに増え、発症した児童は970人、教職員は77人、合わせて1047人になったと発表した。重症者はいない。
入院していた児童8人のうち、同日までに5人が退院し、重症者はいない。
多摩立川保健所が原因を調べており、結果は23日ごろに明らかになる見込み。
■2月24日追記→
一時は児童9人が入院していたが、22日までに全員が退院し、重い症状の人はいないということです。
保健所は学校給食が原因の集団食中毒の疑いがあると見て調べていますが、原因の特定にはもうしばらく時間がかかる見込みだという。
このため立川市教育委員会は、当初24日までとしていた給食の提供を中止する期間を、来月3日まで延長することに決定した。
■2月24日追記→
東京都はノロウイルスによる集団食中毒と断定しました。
現時点で患者は1098人となり、1000人以上の集団食中毒は都内では1978年以来39年ぶりです。
給食を作った共同調理場は3月3日まで業務を自粛するということですが、調理従事者の便や食品からはノロウイルスが検出されておらず、都は引き続き原因を調査しています。
■2月28日追記→
16日提供の給食「親子丼」の
「焼き海苔」が原因であると判明しました。
疑問通り、やはり16日提供の給食が原因でした。
こうなってくるといよいよ、教育委員会はなぜ17日の給食によるものだと早々に特定したのかということが問題になってきます。
集団食中毒が発生した場合、この時期真っ先に疑うのはノロウイルスです。
17日の夕方から症状が出始めたことを考えると、16日の給食を疑うのが常識です。
最初から16日の給食を疑っていれば、ここまで原因特定に時間がかかることはなかったのではないでしょうか。
これは教育委員会の失態と言わざるを得ません。