こんにちは。 飲食店を10年以上も経験したのに学校給食の仕事にもわりとすぐ に馴染むことができた元学校給食調理員の雲藤テルオです。
僕が飲食店から学校給食の仕事に転職してまず最初に思ったこと が、これです。
これ調理師免許だけでできる仕事か? 他にも何かの資格必要なんじゃねーか!?
飲食の仕事から学校給食の世界に入る人も多いかと思いますが、 はじめて学校給食の仕事をすると多分、 これは最初みんなが感じることだと思います。
つまりそれは、学校給食の仕事の厳しすぎる衛生管理基準のことです。
この衛生管理基準に真面目に取り組めない人ははっきり言って、学校給食の仕事は続きません。
逆に、真面目に取り組める人はもう “テキトー” な飲食の世界には戻れなくなります。
そんな厳しくも魅力のある学校給食の仕事の「衛生管理基準」 について主なものを解説していきます。
もくじ
学校給食の厳しい衛生管理基準を解説
・健康管理
昔だとちょっとくらい熱があっても「気合で働け」 という飲食店も多かったと思いますが(今でも結構多い)、 最近だと飲食店でもノロウイルスやコロナウイルスの蔓延予防のた めに出勤直後に体温を記入したりするお店も多いかと思います。
もちろん学校給食の仕事でも毎朝健康チェックをしますが、 給食の仕事の場合にはもう少しチェックする項目が多く、
● 体温
● 下痢・嘔吐の有無
● 怪我の有無
● 同居する家族の体調
など、とくに同居する家族の体調についても気にしなければいけないのが学校給食の衛生管理の厳し さの特徴でもあります。
もし出勤前に熱があり下痢や嘔吐の症状があれば、給食室内に足を踏み入れる前に上司に連絡し指示を仰がなければいけないという徹底ぶりです。
僕も実際に、 自分は何ともなくても同居する妻がノロウイルスに感染したので給 食の仕事が出勤停止になりました。
その後僕も感染してしまい、 なんだかんだで1ヵ月近くも仕事を休むことになるという経験をし ました。
このように、飲食店では重要度の低い健康管理も、 学校給食の仕事の場合には結構厳密に行います。
・手洗い基準
飲食店と比べてばかりでアレなんですが、、 マニュアルがあっても実際は手洗いなんて “パッパ ” で済ませる場合が多い飲食店とは違い、学校給食では1人2分くらいかけて手を洗います。
食中毒予防のための衛生管理を徹底している学校給食の仕事では「手洗いも大切な仕事」との認識が強いからです。
食中毒はなんだかんだ言っても人の手を介して感染が広がるため、 学校給食の手洗いは入念に行います。
食中毒予防のための正しい手洗いの方法はこちらでも詳しく解説し ています▼
・「3度洗い」の洗浄基準
「洗浄」は学校給食の仕事において基本となる部分なので、 学校給食の仕事に就職したら「手洗い」の次に学ぶのが「洗浄」 についてです。
学校給食の仕事だけではなく、 飲食店等の食品を扱う仕事の経験者ならば「野菜は3回洗う」というのを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
でも実際にこれを真面目にやっている飲食店は少ないのが現実です 。
学校給食ではこの “理想” を現実に行っています。
「3回洗う」とは、野菜などを洗浄する際に水を3回取り替えて洗うという、 異物混入リスクを極力減らすための方法です。
でも、 1つのシンクで水を3回取り替えて洗うなんて面倒ですよね?
なので、 学校給食のシンクは水を3回取り替えて洗いやすいように3層構造になっています。
「3回洗う」を飲食店で行っている場合でも、 単純に同じボールで水を3回取り替えて洗っているだけだと思いま すが、学校給食ではシンクを分けて3回洗うという徹底ぶりです。
単純に洗うだけではなく、シンクを替えて洗うことにより、 虫や輪ゴム等の異物混入の早期発見も目的としています。
もちろん3回洗うのは野菜だけではなく、 食器や調理器具も同じようにシンクを取り替えて3回洗うので、 学校給食の仕事の洗浄は時間がかかる作業です。
・生食食品の消毒
そのまま生食するフルーツも野菜と同じようにシンクで3回洗いま すが、そのフルーツによっては更に次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
例えば僕の働いていた東京都世田谷区の小学校では「ぶどう」や「 いちご」に次亜塩素酸を使用しています。
次亜塩素酸ナトリウムを規定の濃度に薄めた水の中に生食フルーツ を干たし、その後3回洗います。
学校給食では「衛生的な食品を提供する」ということを重視しているため、 加熱できない生食のフルーツはこのような方法で食中毒予防のため の衛生管理を徹底しています。
次亜塩素酸ナトリウムを使ってもいい食材や用途別の濃度の計算方 法についてはこちらも参考に▼
・保存食
料理を提供する施設では、使用する食品をそれぞれ「 50グラム以上採取し2週間保存すること」というのが義務付けられています。
更に、調理の「加工前」と「加工後」 の食材をそれぞれ全て50グラム以上採取し2週間保存します。
なにか食中毒等が発生した際に、 その食品を検査し素早く原因究明ができるようにするためのルール です。
飲食店で行っている場合でも全ての食材を採取しているというお店 は、僕の知る限りはありません。
更に学校給食では、
● 採取した日時
● 採取した人
● 廃棄した日時
● 廃棄した人
まで細かく記録しておくという徹底ぶりです。
・汚染区域・非汚染区域の区分
学校給食の給食室内は、汚染区域・ 非汚染区域が明確に区別されているのも特徴的です。
● 洗浄室(汚染区域)
● 業者から食品を受け取る部屋(汚染区域)
● 生肉や生魚の冷蔵庫(汚染区域)
● 完成食品を保管する冷蔵庫(非汚染区域)
● 完成した給食を取り扱う場所(非汚染区域)
給食室内の調理を行う調理場は汚染食材と非汚染食材が混在する部 屋なので、毎日汚染区域と非汚染区域が変わるため、 食材の流れる「導線」や「時間帯」で区別したりします。
なので、「作業計画表」 を毎日作成しそれに従いみんな行動するというのも、 飲食店とは違った学校給食の仕事内容の特徴でもあります。
飲食店では洗い場の隣で料理を作るような配置になっている場合も 多いですが、学校給食ではそういう配置は絶対にありません。
古い学校の給食室だと稀にそれに近い配置になっている場合もあり ますが、そういう場合には「調理中は洗い物を禁止」 とすることで、時間帯で汚染区域と非汚染区域とを区別したりします。
「建物の構造上仕方がない」 という言い訳が通用しない仕事なので、 学校給食で働く人間はみんな毎日頭を悩ませながら今ある設備でで きる最大限の衛生管理を模索しながら毎日仕事を行っています。
・エプロンや調理器具の区別
学校給食の給食室内は、汚染区域・非汚染区域毎に靴を履き替え、汚染食材・非汚染食材毎にエプロンを取り替えて作業を行います。
部屋を分けても冷蔵庫を分けても、 全部屋同じ靴で歩けば汚染も非汚染も意味がなくなってしまいます 。
汚染されている食材(加熱前の生肉など) で使ったエプロンでそのまま非汚染食材(火を通した完成食品) の作業をすれば、これも汚染が広がってしまいます。
また、その取り替える靴やエプロンも色分けされています。
靴もエプロンも部屋や作業毎に取り替えればいいんだからべつに色 を分ける必要はないんじゃないか、と思いますよね?
靴やエプロンの色を変える目的は、間違え防止のためと、「 あの人は今何の作業をしているのか」を遠くから見ても一目でわかるようにするためです。
もちろん、食材や調理工程によって包丁・まな板・ その他調理器具も区別しています。
・生肉・生魚・生卵の取り扱い基準
学校給食の調理で最もその取り扱いに注意するのが「生肉」「 生魚」「生卵」です。
これらの食品に対しては、
● 作業する場所
● 手袋
● エプロン
● 使用するバット類
● 使用前のバット類の保管場所
● 食品を入れたバット類を保管する冷蔵庫
● 使用器具を洗浄するシンク
● 使用器具を洗浄するスポンジ類
これらを全て他の食品のものとは区別します。
もちろん素手での取り扱いは厳禁で使い捨て手袋を使用し、 その作業後は必ず手洗いをします。
更に、 当日にこれらの食品が給食室内を通る導線と他の食品の導線が交わ らないよう、前日までに「導線図」を作成し、 当日はみんなその図を見ながら調理を進めます。
飲食店でも「生肉を触った手でそのまま料理を触らない」 ということは行っていても、流石に導線までは考えませんよね。
学校給食の仕事ではとくに「生肉」「生魚」「生卵」 に関してはここまで徹底した衛生管理を行います。
・アレルギー対応食
学校給食ではアレルギーを持つ子供の食事も対応するのが基本なの で、アレルギー対応食も給食調理員が作ります。
これも生肉などと同じように、
● 作業する場所
● 調理するコンロ
● 手袋
● エプロン
● 使用する調理器具類
● 調理器具の保管場所
など、アレルギー食専用のものを使います。
ちょっと個人的な話しですが、 このアレルギー対応は調理師免許しか持っていない調理員にはちょ っと厳しい仕事なので、学校給食ではアレルギー対応はやめるべきだというのが僕の考え方ですね。
卵一滴で命の危険が増す食事を調理師免許で作らせるには無理があ ると思いながら、 僕も現役当時はアレルギー食を緊張しながら作っていました。
子供のアレルギー食を学校が受ける場合でも、 それは学校栄養士が作るべきだと僕は思っていますが、 現時点では調理員が作るのが一般的な学校給食の流れなので、 給食の仕事をやるからには頑張るしかありませんね!(; ・`д・´)و
・使い捨て手袋の使用基準
使い捨て手袋はスーパーでも飲食店でも、 料理を提供するお店では使うのが当たり前だと思いますが、 使い捨て手袋の “つけ方” まで意識して使っているお店はなかなかありません。
「手は汚れている」が前提のため使い捨て手袋を使うわけですが、 手袋を手につけるときにはその汚い手で手袋の表面を触ります。
飲食店などでは “グレーゾーン” であるその「手袋のつけ方」 まで学校給食の仕事ではとことんこだわります。
使い捨て手袋の正しい使い方を詳しく説明すると長くなるので、 詳しくはこちらを参考に▼
・料理の温度管理基準
学校給食の調理は「料理の温度を測定する」という工程が多いのも特徴的です。
食中毒予防に最も効果的なのは「温度」なので、「 肉に火が通った」とか「なんかそろそろいい感じ」とか、 そういう見た目ではなく、学校給食の仕事では温度測定後が「 料理の完成」となります。
基本的には「中心温度75度以上で1分以上の加熱」を確認して仕上がりとなりますが、 冬場のノロウイルスの危険のある時期にはノロウイルスが死滅する「中心温度90度以上で90秒以上の加熱」を確認します。
そして、
・いつ
・誰が
・どこで
・何の料理を
・何時に
・何度で仕上げたのか
こういうことを細かくその都度記録しなければいけないので、 給食を作っている調理員は調理の最中にペンを持ち常に何らか記録 を取っています。
なので学校給食では、とくに後からでは思い出せない「時間」と「 温度」についてはその都度記録します。
食中毒予防のためのもっと詳しい料理の温度測定に関してはこちら を参考に▼
・料理の完成前・完成後の区分
学校給食では「温度測定後が料理の完成となる」と話しましたが、 その料理の「完成前」と「完成後」も明確に区別します。
料理の「完成後」というのは、 もうその料理に対して殺菌などの消毒が施せないので、 学校給食ではこの「完成後の料理」 に対して最も衛生的な管理が要求されます。
完成した料理をクラス別に分配していくのに使う
・エプロン
・手袋
・トングや柄杓
などは全て、完成食品にだけ使用する専用のものを使います。
・食器や調理器具の保管基準
学校給食の食器や調理器具は、使用後洗浄した後には殺菌のため「熱風保管庫」という専用の保管庫にしまい保管します。
この「熱風保管庫」とは何なのかというと、 熱風によって殺菌消毒を行うための専用の保管庫です。
「殺菌」 と言えば飲食店などでは紫外線による殺菌が一般的ですが、その紫外線が当たらない部分は殺菌ができないため、 学校給食では庫内全体を殺菌できるより確実な「熱」 による殺菌を行います。
仕事の終わりに全ての食器や調理器具をこの熱風保管庫にしまい、 翌日の仕事開始まで熱風によって殺菌消毒を自動で行ってくれてい るという機械です。
翌日はその保管庫から殺菌済みの調理器具を取り出して使うわけで すが、調理の途中に出た洗い終わった調理器具は調理中にはまだ熱風保管庫にはしまいません。
それはなぜかというと、 濡れた調理器具を一緒にしまうと保管庫内にまだ残っている殺菌済 みの調理器具も汚染されてしまうからです。
殺菌済みの調理器具が汚染されてしまえば、 完成後の料理に使う器具がなくなってしまいます。
調理が全て終わるまでは熱風保管庫の中身を衛生的に保たなくては いけません。
その為、調理中に洗った調理器具は一旦外に溜めておいて、 調理が終了してからしまいます。
なので、「暇だから今のうちにどんどん片付けを済ませちゃおう」 ということが、学校給食の仕事の場合はできないことが多いです。
・喫食前2時間ルール
学校給食では「喫食2時間前ルール」というルールが存在します。
これは学校給食で働いたことのない方はあまり聞いたことのないル ールだと思いますが、要は「 出来るだけ食べる直前に仕上げてね」というものです。
単純に味噌汁やご飯等は温かければ温かい方が良いので直前に仕上 げますが、冷めても良い料理であっても実際に子供達が食べる給食の時間の2時間前からしか仕上げることができません。
それは何故かというと、 料理は仕上がってから放置する時間が長ければ長いほど菌が繁殖するからです。
その菌の繁殖が活発になるのが放置して2時間後からだと言われています。
「今日は暇だから」 という理由で3時間も4時間も前に仕上げることは学校給食の場合 にはできないんです。
・生野菜は基本的に提供しない
現在の学校給食では生野菜の提供は基本的にしません。
その理由はもちろん食中毒予防のためです。
サラダであっても一度ボイルし冷ましてから茹で野菜として提供す るのが学校給食の場合一般的です。
ミニトマトなどを使う場合も稀にありますが、 そういう加熱できない食品の場合には、先に話した次亜塩素酸ナトリウムで消毒をし提供します。
もちろん次亜塩素酸ナトリウムは取り扱いが危険なので、 極力ミニトマトなどは学校給食では使わない場合が多いです。
・白衣の着替え方の基準
学校給食ではこういう白衣を着て仕事をします。
出勤したらまずはこの白衣に着替えるわけですが、その白衣に着替える順番も決まっています。
簡単に言うと、上から順番に着替えていきます。 帽子をかぶりマスクをし、上着を着てズボンを履きます。
なぜこういう順番になっているのかというと、 帽子の前に上着を先に着てしまうと抜け落ちた髪の毛などが上着に 付いてしまう可能性がありますよね。
そういう異物混入リスクを減らすための衛生管理です。
着替えた後も念の為にコロコロで全身をコロコロします。
・白衣のままの外出禁止
着替える順番も決まっているくらいなので、 白衣は清潔に保たなくてはけないため、白衣を着たまま外出はできません。
ゴミ出しに外へ出る場合でも白衣を脱いで外へ出ます。
30年くらい前の僕の小学校時代の記憶だと、 給食のおじさんが長靴と白衣を着たまま外で子供と一緒にラジオ体 操をしていた記憶がありますが、 現在ではどこの学校でもそういう光景は見ないのではないでしょう か?
見ることがあるとしてもそれは多分 “ラジオ体操専用白衣” でしょう。
・トイレ使用基準
白衣を着る順番が決まっているくらいなので勿論、仕事中には白衣を脱ぐ順番も決まっています。
仕事中に白衣を脱ぐ場面というのは主にトイレです。
学校給食のトイレは基本的にこういう造りになっています。
つまりトイレは2部屋の造りになっていて、 廊下とトイレの間にも一部屋ズボンを脱ぐためだけの脱衣部屋があ ります。
学校給食の仕事は白衣の脱着の順番と共に、トイレ使用の手順にもルールがあります。
1 外で上着・帽子・マスクを脱ぐ
2 脱衣所に入りズボンを脱ぐ
3 トイレへ入り用を足す
4 便座に座ったまま手を洗う
5 下着を履き蓋を閉じて水を流す
6 脱衣所でズボンを履く
7 外へ出て帽子と上着を着る
8 再度手を洗う
食中毒はトイレから広がりやすいので、 学校給食のトイレの使い方はこのように細かく決められています。
学校給食のトイレはこういう、
便座に座ったまま手が洗えるような造りになっています。( 古い給食室はなっていない場合もある)
そして流す水の勢いで菌やウイルスが飛び散らないように蓋を閉めて水を流します。
食中毒予防のためのもっと詳しいトイレの正しい使い方については こちらも参考に▼
・調理中の清掃基準
白衣を清潔に保たなくてはいけない理由とは、 調理中の異物混入や食中毒を防ぐことにあるので、午前の調理中は基本的に清掃ができません。
とくにトイレ掃除や生ゴミ関連の掃除はできません。
これも「暇だから今のうちにやっちゃおう」 ということが学校給食の仕事ではできないんですね。
・検便検査
食品を扱う仕事の経験がある方は知っていると思いますが、 学校給食でも検便検査を毎月行います。
検便検査というのは、 なんか変な菌を持っていないかどうかを人間の便から検査するもの です。
飲食店などではこれを毎月1回行うのが一般的ですが、 学校給食の仕事では月に2回、多いところでは月に3回行うところもあります。
それで何らかよからぬ菌が検出されればもちろん出勤ができません 。
・ドライシステム
学校給食の調理室内は「ドライシステム」というものを採用しています。
ドライシステムとは、床を濡らさずに衛生を保つ方法です。
飲食店のキッチンなどでは掃除の際にバケツで水を床にぶちまけて 掃除する(ウエットシステム)が昔は当たり前でした。
それだと確かに見た目的にはキレイになりますが、その水分でカビなどの雑菌が繁殖しやすくなるため、 学校給食では床を濡らさないドライシステムにより衛生管理を行っ ています。
調理中は床が濡れればその都度拭き取ります。 仕事終わりの清掃も水を撒くのではなく、 ほうきとちりとりでのはき掃除です。
もちろん食器の洗浄中も床は濡らせません。
最後なので、 僕が学校給食の仕事の中で一番不満に感じていたこの洗浄時のドラ イシステムについてちょっと話しておきます。
学校給食で洗浄作業をする際にはこのように、
スーパーの魚屋さんがよく身に着けている防水のエプロンと同じも のを使います。
僕が働いていた世田谷区では「 ドライシステムなんだから床に水が溢れるはずがない」 ということから、このように
膝下で防水エプロンを切って使うという決まりになっています。
更に「水が溢れるはずがないんだから長靴も必要なくね?」 ということで、
長靴ではなく短靴です。
でも実際には、 全校生徒の大量の食器や食缶を1時間以上もかけて洗うので当然、
膝下はみんな水でびちゃびちゃになります。
なので世田谷区の小中学校の給食室で働く人達は替えの靴下が必須 です(・・;)
これはドライシステムが前提にあるので「 重いエプロンや長靴も無くせば身体の負担軽減になる」という、 世田谷区教育委員会の職場環境改善のための働いている人達のこと を思って考えられたルールです。
ドライシステムは衛生面においてとても素晴らしいシステムだと思 いますが、床を全く濡らさずに食器の洗浄を行うことは、 ほぼ不可能に近いのが現実なんですね。
まぁ、こういうのは流石に「 現場を知らない役人の考えそうなことだな」と思います(笑)。
世田谷区の学校給食で働く人は替えの靴下の用意も忘れずに(゜ o゜)
学校給食の衛生管理マニュアル
学校給食の仕事の主な衛生管理基準を話してきましたが、 この衛生管理基準にはマニュアル本が存在します。
なんとamazonとかでも売っています。
これですね。
リンク
これは学校給食の現場には必ず置かれているマニュアルで、 新人はまずこれを読んで勉強します。
勿論こんなものを買わなくても学校給食で働けば現場にあるので読 むことができますが、 もし事前にこの衛生管理基準の知識を知っていれば、会社の面接ではかなりのアピールにはなります。
こんな調理師免許の試験にも出ないような特殊な知識を事前に勉強 してくる人なんか、まずいませんからね(^_^)
もし学校給食などの集団調理のような仕事が初めての方で「 面接でアピールできることが何もない…」という方は、 値段も1,000円ちょっとで買えるのでおすすめです。
こんなに厳しいのに辞められない学校給食の仕事の魅力って何?
ここまで紹介してきた学校給食の厳しい衛生管理基準ですが、 僕は今回、 べつに学校給食の仕事のマニュアルをただ並べ立てたわけではあり ません。
「基本的に..」とか「あくまでも理想は..」 ということを並べて説明したわけではありません。
今回の内容は全て現実に毎日行っている学校給食の仕事です。
理想を「あくまで理想」 と割り切らず現実に行っている仕事
正しいことが当たり前にできる仕事
これが学校給食の仕事の魅力です。
学校給食の仕事のこういう魅力を知ってしまった人はもう、 給食の仕事を辞められなくなります。
この魅力を知ったにもかかわらず給食の仕事を辞めた僕は激レアか もしれません(笑)。
給食の仕事の魅力を知ったにもかかわらず辞めた人
として現在 “激レアさん” のオファー待ちです。
冗談はこのくらいにして、、
飲食店では衛生管理なんかにそこまで時間をかけていられないので 、マニュアルはあっても誰も守りません。 守りたくても守る時間がありません。
そういう世界に疑問を持った人が学校給食の仕事を選びます。
衛生管理を正しく行うにはそれなりに時間をかけなくてはできませんが、衛生管理は “目に見えない” ため、飲食店でいくら衛生管理の徹底に時間をかけてもそれで売上が上がるわけではないので、置き去りにされがちです。
学校給食の仕事は衛生管理ありきの仕事なので、 当然のように衛生管理に多くの時間を割きます。
学校給食では衛生的な理由で「 その献立では衛生的な作業ができないので献立を見直してもらえま せんか?」と、給食の献立を作成する栄養士の先生に「衛生」 を理由に献立の中身の具材などの変更をお願いする場合もあるくら いです。
そういうのは滅多にありませんが、 栄養士にも経験の差が出るので、 若い栄養士の場合にはそういうシーンも稀にあります。
学校給食の仕事ではかなり細かい部分まで事前に計画を立てるので 、計画通りに進むと仕事が楽しくて仕方がなくなります。
わからないことをわからないままになんとなく進めてもどうにかな る飲食店とは違い、給食の仕事を真面目に続けていると仕事の進め方の不安が一切なくなるという瞬間がいずれ訪れます。
これが、厳しい衛生管理基準のある学校給食の仕事でも、 一度この世界を知ってしまうと辞められなくなる理由です。
ちょっと抽象的な表現でなかなか伝わりにくいかと思いますが、 ちょっとでも「おっ!(゜o゜)」と思った方は、 もうちょっと具体的な学校給食の仕事内容についてもぜひ覗いてみ てください▼
学校給食で働くには?
学校給食で働くのは簡単です。
学校給食の正社員で働くためには「調理師免許」が必須なので、 持っていない方は(関連記事:社会人から調理師になるには?【 独学・通信・夜間学校】で資格を取る方法を解説)を参考に、 調理師免許を取ってください。
もう調理師免許を持っている正社員希望の方、 そして調理師免許を持っていなくても働くことができるパート希望の方であれば、 すぐに学校給食で働くことができます。
学校給食の仕事をしてみたいという方は、 学校給食で働く方法を詳しく解説しているこちらを参考にしてみて くださいヽ(^_^)▼