会社員を辞め独立した僕が見た、思考停止により搾取され消耗する人々。

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こんにちは。思考停止と搾取と消耗を極度に嫌う雲藤テルオ(@undoteruo)です。
 
僕は34歳で会社を退職しブログで独立した、現在36歳の者です。
 
ブログで独立したといってもまだブログだけでは食べてはいけないので、バイトを2つ掛け持ちしています。
 
 
1つは、18歳からやっている飲食店のバイトリーダー。
 
僕が就職した学校給食調理員の仕事は副業OKの仕事だったので、就職後もその飲食店バイトを続け、学校給食を辞めた後も週1でバイトリーダーを続けています。
 
なのでもう、かれこれ18年勤務です。僕の人生の半分がこの飲食店と共にあるということで、だいぶ愛着を持っています。
 
10年目には記念品として立派な普通のボールペンを頂いたので、20年目には何がもらえるのか今から楽しみです。(噂によると3千円もの大金がもらえるらしいです)
 
 
もう1つのバイトは、会社を辞めてから毎日ずっと座ってパソコンばかりしていたので、1年で15キロも太ってしまうという病的な太り方をしてしまい「これではヤバイ!」と思ったので、運動になるバイトでもしようと思い、商業施設ビルの清掃の仕事を毎日早朝3時間行っています。
 
 
僕は適応障害になり仕事を辞めたわけですが、『適応障害、鬱病でもできる仕事とは?理想が高い人ほど正社員は向かないかもしれないでも話した通り、僕の適応障害の原因の一つは“仕事への理想が高すぎる”という点にありました。
 
こういう、意識だけはいっちょ前に高くて細かい性格の僕のような人間が会社という組織の社員から離れてみると、会社からの指示をひたすらこなすだけという思考停止の人間、それによって搾取され消耗する構造が日本の隅々にまで蔓延っているという、現実が見えてきました。
 
 
以前はあまり感じなかったことだけど、バイトと正社員を経験し、そこから一歩離れてみると、会社員の無関心さと思考停止が半端ないことがよくわかったので、僕が体験したその思考停止人間エピソードの一部を紹介します。
(多すぎて書ききれないので優良エピソードを厳選しました)
 




「休みの代わり探し強要 問題」で思考停止人間により消耗する末端の人々

 
休みたいなら代わりの人探してから言ってね
 
 
アルバイトとして働いた経験のある方ならば「この日ちょっと休みたいんですけど」と相談した際に社員からこういうことを一度は言われた経験があるだろう。
 
もしくは、社員として、パート·アルバイトにこういうことを言った経験のある社員がいるのではないだろうか。
 
 
そもそも「代わりが見つけられなければ休ませない」とパート·アルバイトに強要するのは、法律に違反している。
 
人材確保の義務を負うのは正社員の責任者の仕事であり、パート·アルバイトにその義務はない。
 
“お願い”ならばセーフ。バイトとしてもそのお願いに協力する気持ちも勿論皆さんあるだろうが、“強要”はアウト。
 
これが、僕(36歳)よりも年上の社員の発言だということに、驚きを隠せない。
若く経験の浅い人間ならばともかく、僕よりも経験の多い人間の発言だ。
 
自分の常識を疑いもせずに、まさに思考停止に陥っている人間だ。
 
 
僕の経験上、こういうことを社員が日々発言していると何が起こるのかというと
  • 妻が具合が悪いのに「代わりが見つからなくて休めない…」と言って出勤して行ったんだけど、おたくの会社はどうなってんだ!?と言って本社に旦那さんが怒鳴り込みに来る。
     
  • 「休みたいと言いづらい…」ということで、「当日熱があることにして休んじゃお」と、当日欠勤するパートが増える。

 
「代わりが見つけられなければ休ませない」と言い放つ社員はここまで考えた上で、その対策をしっかり準備した上で発言しているのだろうか。
 
多分、思考停止しているので考えちゃいない。
 
 
残念なことだ。
 

「誰がいつ何を発注したのか不明 問題」で思考停止中の人々

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僕が18歳から勤務している飲食店では、以前は僕ともう1人の先輩と2人とで発注業務を担当していた。
 
そして先輩が辞め、僕も就職で週1日勤務になるため、誰でも発注ができるシステムを当時仲の良かった社員と僕とで作った。
 
それを見れば、誰がいつ何を発注して何がいつ納品されるのかが一目で分かるようになっている表だ。
 
今でも手を加えてアップデートしながらそのシステムを使っているようだ。
 
 
人を決めて少人数で発注をするメリットは、発注担当者同士意思疎通が容易な点と、発注のことならばその人に聞けば何でも分かるという点。
デメリットは、その人じゃないと発注ができないという点。
 
誰でも発注ができるメリットは、誰でも発注ができるので発注担当者がいないから発注ができないということがない。
デメリットは、全員がきちんとルールを守らないと誰が何を発注していつ何が届くのかが分からなくなるという点。
 
僕の飲食店では残念ながら、そのデメリットが色濃く出てしまっている。
 
 
飲食店では発注をちゃんとやっていても何らかの理由により食材や資材が足りなくなることがよくある。
 
原因不明の急な混雑や、何故か注文が偏るとか、納品された資材を誰がどこに置いたのか分からない(それもおかしな話だが)等の理由により、食材や資材が足りなくなることがよくある。
 
そうなった時に発注しても納品されるのは間に合えば翌日、間に合わなければ翌々日になるわけだ。
 
つまり、当日の食材や資材の在庫不足は翌々日まで影響することになる。
 
ということは、店長は他店に足りない物を貸してもらえるよう連絡しお願いしたり、最悪、近所のスーパーに買い出しに行ったりしなくてはいけなくなる場合もある。
 
そういう手配をしている最中、もしくは、借りられる目処がついて一安心しているという時に、その不足している食材なり資材なりが突然届いたりするわけだ。何故か。
  
食材が足りなくなり、店長が他店に足りなくなった食材を借りられないか電話をしまくり、額に汗して米やキャベツの10キロケースをやっとの思いでタクシーで運んできた直後、お店に米とキャベツが納品され「あ、誰かが発注してくれてたんだね〜」と、ヘラヘラと笑っている店長。
 
誰かが気を利かせて発注してくれていたようだが、その記録がどこにもなく個人的に勝手に行った行動のため他の従業員誰も知らない納品。
 
それが何度か続いたのを僕も目撃したので、
ちょっと店長、と。
そろそろいい加減にしたら、と。
ヘラヘラ笑ってる場合じゃないんですよ、と。
 
 
汗をかく場所は額だけじゃねぇ
 
脳にも汗をかけ
 
 
何故いつも自分が大変なのに、バイトに発注のルールを守らせることをしないのか。
 
僕がそう言うと店長は「あぁ〜!」
 
まるで「斬新な発想ですね!」と言わんばかりの表情。
 
 
日本人は良く言えばマジメ。
 
悪く言えばロボット。
 
である。
 
 
大変でも日本人はそれが当たり前の仕事で頑張っているという達成感”のために汗を流すという、悪しき風習がある。
 
自分の負担を軽くするために頭を使うということをしない。
 
思考停止の典型的な例。
 
 
残念なことだ。
 

「飲食店の従業員集まらない 問題」の問題は思考停止にあり

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特に飲食店では慢性的な従業員不足に悩まされている。
 
僕の飲食店でも特に土日の人手不足が深刻だ。
 
もう何年も前から。
 
 
そこで僕は店長に聞いてみたわけだ。
 
 
「店長。人を集めるために何か対策考えてるの?」と。
 
 
そしたら店長
 
 
タウンワークとかに募集出してるんですけどね〜…
 
 
おい店長、と。
 
思考停止もいい加減にしとけよ、と。
 
 
人が足りなくてその分人件費が何年も浮いてるわけなんだから、土日の時給上げて募集するとか、社会保険加入の準社員のバイトにはシフト固定の相談してみるとか、なぜ高卒の僕がすぐ浮かぶような対策を、考えてもみないのか。
 
大学では“思考停止学”が必修なのか。
 
 
残念なことだ。
 




「誰がいつどこを掃除してるのか不明 問題」で思考停止中の会社員

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会社員の思考停止は僕が新たに始めた清掃の仕事でも頻繁に見受けられる。
 
社員からの指示はこれだ。
 
 
キレイにして
 
 
人によってこだわるところは違うので、やる人もいればやらない人もいる。
 
誰がいつどこをどんな風に掃除しているのか、社員は把握していない。
 

「社員の指示みんなバラバラ 問題」で消耗する末端の人間

 
誰がいつどこを掃除してるのか把握してない問題に加え、社員の指示がみんなバラバラという問題がある。
 
 
商業施設ビルの清掃とは、ビルの外回り、トイレ、エスカレーターにエレベーター、お客さんのフロアーから従業員の更衣室や休憩室といった場所が、主な清掃場所だ。
 
ウチの社員は基本的にその日その場を清掃している“個人に対してのみ”指示を行うため、その指示内容は全体に共有されない。
 
また、その指示も社員毎に異なるため、僕が指示通りに清掃を行っていても、人によってはやり方が違うという場面に頻繁に遭遇する。
 
僕も同じバイトではあるが、僕が社員から受けた指示と違うやり方をしている人がいるため注意をしようかどうしようか迷い、とりあえずそれとなく話しを聞いてみると、そのバイトも指示通りに作業をしているだけなんだということがわかった。
 
その人もまた、僕と同じように社員の指示通りに仕事をしているだけなのだ。
 
つまり、社員の指示がバラバラ。
 
 
誰がいつどこを掃除してるのか不明な上、指示が特に無いので清掃のやり方も人それぞれで、社員もこだわる場所が人それぞれという状態のため、指示がバラバラ。
 

「ロボット人間育成 問題」で極まった思考停止人間

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僕の清掃会社は、商業施設の運営を行っている会社の関連の設備会社から清掃業務を請け負うという、下請けの会社だ。
 
社員は誰がいつどこを掃除してるのか把握できていない上、指示もバラバラなため、清掃のやり方も人それぞれという状態。
 
これで一体何が問題になるのかというと、親会社の社員がやってほしいと思って下請けの清掃会社(ウチの会社)の社員に指示していることが“守られていない”という状態になるわけだ。
 
 
親会社の社員は下請けの仕事ぶりをチェックするのが仕事なため、清掃中は見回りをしながらバイトにも注意したり指示をしたりもする。
 
そしてその注意に対してバイトが頻繁に「?」な態度をとったりする。
 
それは当然のことで、指示を受けていない内容のことを親会社の社員に突然言われれば知りません」とか「あ、そこも掃除するんですか?聞いてなかったんで…」となるのは当然の話。
 
そして、こういう答え方をバイトがすると、親会社の社員にウチの社員が怒られる。
 
そりゃそうだろう。
 
「そこも掃除してね」と社員に言ってあるにも関わらずバイトに聞いたら「聞いていません」では、怒るのも当然だ。
 
 
こういうことが頻繁に起きると、下請けの社員がとる対策といえば、普通、
  • 社員の意思(指示内容や清掃方法など)を統一
  • 清掃箇所の優先順位を決める
  • 例えば、曜日毎に重点項目を決めるなど、毎日やるべき仕事と週1でもいい仕事の選別
  • これらのマニュアルを作成しバイトに徹底
僕の常識から言えば、普通はこういう対策であるはずだ。
 
だが、ウチの思考停止社員は一味違う。
 
 
あの人達(親会社の社員)に何か言われたら「はい、わかりました」と答えるようにして!
 
決して「聞いてません」とか「知りません」とは言わないように!
 
 
いや、十味違った。
 
 
その対策とは、まさかの“ロボット人間の育成”である。
 
びっくり仰天である。
 
「びっくり仰天」の具体例として辞書に載せてほしいレベルである。
 
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もし僕が親会社の社員でバイトに「はい、わかりました」と答えられたら、何もわかってないのに言ってるだけだなということがすぐわかるだろう。
 
自分だったらその方がよっぽど腹が立つだろうと想像できるのは、きっと僕だけではないはずだ。
 
 
こういうことをしているから大卒の人間から高卒がバカにされるのだ。
 
それよりも僕が一番言いたいことは、隠すと問題点が隠れるため作業の精度が高まっていかない”ということ。
 
だが、絶賛思考停止中の会社員は問題発覚を恐れる。
 
問題が発覚しても、思考停止人間が真っ先に考えることは余計なこと言うな!」ということで、その改善策は“バイトのロボット化”である。
 
 
とりあえず知ってるふりをして、その都度何言われたか社員に報告してね!
 
ならばまだわかる。
 
バレない内にバイトに情報流して前から知ってることにしちゃおう。ということならば、まだわかる。
 
だが今のところ、その報告すら僕らは求められていない。
 




「空欄を埋めろ 問題」での思考停止の連鎖による会社の崩壊

 
“隠すと問題点が隠れるため作業の精度が高まっていかない”ということで、もう1ついい例がある。
 
これはまた僕の飲食店の話に戻る。
 
 
僕の飲食店は全国チェーンであるため、数多くのマニュアルが存在する。
 
全国どこのお店に行っても同じクオリティーの料理を提供するためである。
 
そのマニュアルの1つに、「食品チェックノート」というものがある。
 
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これは例えば、
  • 野菜を仕込んだ時間
  • 仕込みをしたスタッフの名前
  • 仕込んだ後の野菜の消費期限
  • その野菜を提供し終えた時間
  • または廃棄の時間
こういうことを営業中に書き込むノートだ。
 
 
1日1ページに項目がまとまっており、ちゃんとやっていれば営業終了後にやっと全ての項目が埋まるはずのチェックノートだ。
 
このノートの目的は、もし何か例えば食中毒などが発生した場合に保健所の人へウチはちゃんと消費期限を守って細かく記載しデータを残していますよ」と言えるようにするためのものである。
 
要するに、事故等が発生した際に原因を早く特定しやすくするためというのが本来の目的てある。
 
 
定期的に本社の監査の社員がお店に来てこのノートがちゃんと活用されているかのチェックが入る。
 
そして、ノートに空欄があればお店の評価から点数が減点され、店長の評価に直結する。
 
そのため、このノートの“空欄を埋めること”がバイトの仕事になっている。
 
 
このノートはその都度記入することになっているため、ランチやディナーのピークタイム中の忙しい時間帯であっても関係なく本来は営業中に書き込まなくてはいけない。
 
しかし現実的に、ただでさえ人員が足りていない上、一人の仕事量の多い飲食チェーン店の営業中にきちんとノートに記入することは難しく、現実、どの店舗でも営業中にノート記入をきちんと行っている店舗は僕の知る限り、無い。
 
 
僕は以前、このお店で社会保険に加入して週6で入っている当時にはきちんと営業中に記入していたし、後輩にもそう指導していた。
 
「他ではやっていなくてもウチではきちんとやってるんだ!」という誇りのためだ。
 
 
週1でしかバイトに入らなくなったので僕がこのノートに関わることは少なくなっていたが、最近久しぶりにこのノートをまだ午前中の“営業開始1時間後”に目にする機会があったのでガッツリ見てみると、驚愕した。
 
その日1日分のページが営業開始1時間にして全て埋まっていたである。
 
 
おそらく、営業中の記入は困難だと思った誰かがいらない気を利かせて先に全て埋めたのだろう。そしてそれが今や暗黙のルールとなってしまっているようだ。
 
営業終了後に空欄を埋めると言うならばまだわかる。“思い出して書いている”という言い訳も成り立つからだ。
 
がしかし、未来のことを書くというのは“予知して書いている”という言い訳は成り立たない。
 
勿論これは社員も承知している。
 
更に驚愕である。
 
 
「驚愕」という言葉の辞書の具体例のところには是非、こう記してほしい。
 
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僕は基本的に、忙しくて記入を忘れてしまい記憶を辿ってもその時間が思い出せないといった場合にも“嘘”は書かずに空欄のままにした方が良い”と考えている。
 
勿論“未来予知”は論外である。
 
なぜなら、嘘では意味がないばかりか、事故の原因究明に支障になるからだ。
 
 
僕の飲食チェーン店では、お店の店長よりも2〜3つ以上上の役職の人間は内部昇格ではなく外部から連れてきた人材が多い。
 
ということは、現場を経験した社員ならば誰でも知っている“チェックノートは空欄を埋めているだけ”という事実を、そういう上級社員は知らない。
 
そういうこともあり、上の上級社員は上がってくる報告だけを聞いてチェックノートの高い記入率に満足していることだろうと思う。
 
そうなると、現実には“営業中にノート記入が困難である“という問題点が隠れてしまうのである。
 
 
嘘は書かずノート未記入のまま監査をしてもらいそのまま上に報告が上がれば「なぜ未記入の店舗が多いのだ?」ということなる。
 
調査をすれば営業中のノート記入は困難だということが明るみに出る。
 
そうなれば例えば、1冊のノートではなくポジション毎にノートを用意するとか、いちいち消費期限を営業中に気にしながらチェックする面倒な作業を無くすために、営業中に消費期限が切れることのないような仕込みの方法を考えるだとか、そういった改善策を考えることができる。
 
問題点を隠すと、こういう改善を考える余地すらないのである。
 
何か大きな事故が発生し外部の人間による調査でも入らない限り、会社の偉い人間は実は現場で起きている問題点を知る機会がない。
 
社内隠ぺいが当たり前に蔓延っているが、バイトも含め全員が絶賛思考停止中のため、おそらくこの飲食チェーン店の中でこんなことが問題だと感じ、これが隠ぺいであると気付いているのは僕くらいではないだろうか。
 
問題点は問題点として明るみに出すということが大切なのだ。
 




思考停止。搾取。ここに極まれり。

 
僕が最近で一番「思考停止も極まってるな」と感じて呆れ果てたのがエスカレーターのステップの溝誰が掃除するんだ問題」である。
 
最後は、清掃の仕事の話で締めることにする。
 
 
エスカレーターの人間が乗る階段部分を「ステップ」と言うのだが、どこのエスカレーターも大体ステップ部分はデコボコして溝がある構造になっている。
 
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多分だが、溝が無く一枚板だと雨の時など水が溜まってしまい滑って危険だからだろうと思う。
 
 
エスカレーターの手すりベルトや周りのガラス部分は毎日清掃するのだが、このステップの溝の内部を掃除するためには、高価な専用の清掃器具を購入しなければ掃除することができないため、ウチの会社ではステップの溝は清掃していない。
 
清掃していないので、そこだけに汚れが溜まり汚さが目立つのである。
 
 
一度、本社から来た人間からT字のほうきを当てて手で強く押さえながらこすれば汚れが取れるよ」と言われたことがあったのだが、専用の清掃器具でもないもので動いているエスカレーターのステップに手でほうきを押さえて掃除するなんて危ない真似はしたくないので、僕はやっていないし、後から入ってきた新人にも僕は教えていない。
 
自分が危険でやらないことを人にやらせるわけにはいかない。
 
 
社員も、
 
「危ないからやらなくていいよ」と言う人。
 
「親会社の人間に言われたら“はい、これからやります”と言っとけ」と言う人。
 
「清掃器具高いんだよなぁ〜」とか、バイトに言ってもしょうがないことを言う人。
 
様々いる。
 
 
そんなことを何ヶ月も繰り返しているある日、親会社の人間からついに「溝も掃除して」と言われたという社員が、僕に愚痴を言ってきた。
 
 
そんなこと言ったってさ、専用の清掃器具は高くて買えないんだよ!だったらさ、買ってくれよな!そしたらやってやるよ!なぁ〜…まったく!
 
 
僕は基本的にバイトの立場で社員の仕事にあまり口出ししたくはないので黙っている方なのだが、僕もそろそろいい加減にしてくれよ茶髪野郎と思ったので、こう言った。
 
 
いつもウチとアッチ(親会社の人間)とで掃除の押し付け合いみたいなことしてますが、そもそも契約には何と書いてあるんですか?具体的な清掃箇所は契約書に書いてありますよね?そこに「溝の中も掃除しろ」と書いてあるならば契約事項なんだから高くてもなんでも清掃器具買って掃除しなきゃいけないし、書いてないんだったら「契約に無い箇所なんでそこは清掃できません」とアッチに言えばいいんじゃないですか?
 
 
茶髪野郎がパソコンいじくって契約にあるエスカレーターの清掃箇所の部分を印刷してきたので、一緒に確認した。
 
それを見ると、こうあった。
 
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丁寧に“表面”と、どんなバカでも解釈に違いなど生まれようもない表現で書いてあるではないか。
 
何故これをウチの社員達は何ヶ月も確認せずに、あーでもないこーでもないと皆で言い合っていたのか。
 
思考停止もここまで来ると謎すぎて呆れ果てる他ない。
 
 
「呆れ果てる」の辞書には是非具体例として、こう記してほしい
 
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もう笑っちゃうくらいしょうもない一瞬で解決できるような問題でも、絶賛思考停止中の人間には適応障害で会社を辞めた社会不適合者のバイトが背中をひと押ししないと、動き出さない。
 
 
下請け会社は親会社には逆らえない。
 
なので「やれ」と言われればやるしかない。
 
ひどい場合だとこれが横行し末端のアルバイトにしわ寄せが来る。
 
そうならないために契約書があるのだろう。
 
 
自分を守るための契約書を“見もしない”というのは、思考停止を極めし者だけが辿り着く場所。
 
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テルオのまとめ

まとめ-2
 
一生気付かなければ、一生幸せなのかもしれない。
 
たが、もし気づくことができれば、次の何かにきっと活かせるはず。
 
 
現在、絶賛思考停止中の人間は、この先思考が動き出す確率は極めて低いと思う。
 
アルバイト時代の僕は元々、錆びてはいたが思考はなんとか回っていたという人間だった。
 
それがたまたま、思考が停止していてはやっていけない学校給食という仕事に就職したため、思考停止には陥らずに済んだ。
 
だが社会は僕に思考停止を度々要求してくるため、それに耐え切れずに正社員の仕事を僕は辞めた。
 
そんな経験をしてきた僕が会社員を辞めてみると、世の中は思考停止の人間で溢れていることに気が付いた。
 
 
何故社会が私達に思考停止を求めてくるのかと言えば、その方が楽だからである。
 
自分の下の人間が全てロボットであれば、一度回せば一生動いてくれるので楽なのだ。
 
 
だが人間は同時に、自分の仕事とは関係の無い人間の思考停止には、厳しい。
 
いつか自分の仕事も世間の厳しさに晒されるのであれば、思考を動かすのは早いに越したことはない。
 
 
だが、思考を回し出した人間によほどの経営の才能でもない限り、その会社からは逃げ出すことになるだろう。
 
 
僕のように。
 

 
 
 
 
 
 

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