学校給食調理員裏話「学校給食はアレルギー事故対応により崩壊する!」子供の命は食育が奪っている事実。

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こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
 
 
僕は学校給食で働いていましたが、本当に日本の学校給食、食育が嫌いでした。
 
今日は僕が嫌いなアレルギー対応について話していきたいと思います。
 
基本的にアレルギー食は学校に任せるべきではない理由を話していきますが、様々な事情によりそれでも学校に任せるといった場合に「これだけは確認してほしいポイント」も最後に紹介します。
 
 

学校給食のアレルギー対応の種類

 
学校給食のアレルギー対応は大きく3パターンに分けられます。
 
アレルギー除去食
アレルギー代替え食
提供なし
 
 
 
のアレルギー除去食というのは、単純に料理のアレルギー物質を除去した対応方法です。
 
例えば牛乳アレルギーであれば、シチューから牛乳を除去する。
エビアレルギーであれば、中華丼からエビを除去する。
 
こういったのがアレルギー除去食です。
 
 
除去食でも代替え食に少し踏み込む場合もあります。
 
例えば、シチューで小麦粉アレルギーの場合、単純に小麦粉を除去しただけだとただのスープになってしまうので、片栗粉でとろみをつけたりといったように、少し手を加える場合もあります。
 
 
 
のアレルギー代替え食というのは、アレルギー用に全く別の料理を代替えで作るものです。
 
例えば小麦粉アレルギーであれば、普通のパンではなく米粉パンにする。
フルーツのパイナップルアレルギーであれば、それに替えて別の果物、例えばリンゴなどを提供する。
 
こういったのがアレルギー代替え食です。
 
 
 
の提供なしとは、文字通り提供しないという対応です。
 
僕は個人的に提供しないのがベストだと思っています。
 
 

教育委員会のアレルギー対応の食育方針

 
僕は、アレルギーを持つ子供の親と面談し、献立を作っている栄養士ではなくただの調理員でしたので詳しくは知りませんが、「アレルギーを持つ子供にも出来る限り対応した食事を提供すること」というのが教育委員会の食育の方針のようです。
 
その為、学校栄養士は頻繁にアレルギーを持つ児童生徒の保護者と面談をします。
 
単純に「嫌いだから」という理由で対応食を作っていたのでは切りがないため、基本的に医師からの診断書を持って対応を決めることになります。
 
「アレルギーを持つ子供にも出来る限り対応した食事を提供すること」というのはあくまで学校側の方針のため、「提供無しでいい」「家から別のおかずを持って行かせる」「学校に対応食を作ってもらう」というのは最終的に保護者の判断になります。
 
僕が調理員として実際に勤務した学校は何校かありますが、基本的にどこの学校でも学校にアレルギー対応食をお願いする保護者が多かったです。
 
 
僕は現役時代からアレルギーは一切対応するべきではないと考えていました。(勿論そんなこと栄養士に言えるはずもない)
  
その理由は、どんなに気を付けていても毎年どこかで必ずアレルギー事故が起こっていることと、
 
学校給食調理員に必須の資格、調理師免許にはアレルギー対応に関する分野の勉強が無いため、医療の領域とも言える❝命の危険❞に関して、実際の仕事を通して素人がイチから学ばなくてはいけなこと。
 
それらの理由で僕は、現役時代からアレルギー食は一切対応するべきではないと考えていました。
 
 

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僕の経験したアレルギー対応食の調理の流れ

 
僕がいくつか経験した学校の中で、一番最善の方法だなと思ったアレルギー対応食の調理の流れを紹介しようと思います。
 
 
まず前提として、アレルギー調理に使う調理器具、食器、温度計は全てアレルギー専用として用意されています。
 
ですが、途中から別調理となる場合もあるため、途中までは一緒に調理する場合もあります。(ほとんどこの方式が多かった)
 
クリームシチューの小麦粉除去を例にしてみます。
 
 
 
まずは肉や野菜をいためて、スープで煮込んでいきます。火が通ってきたら塩コショウである程度味を整えます。
 
ここまでは全校生徒の分と同じ釜で調理し、ここから小麦粉の入ったルーを加えていくため、アレルギー分を別の鍋に取り分けます。
 
ほうれん草などが入る場合には、ほうれん草は最後の方に入れるため、ほうれん草も別でアレルギー用に取っておきます。
 
全校生徒分のシチューにアレルギー物質の小麦粉が入っているルーを入れる際、ルーを入れてしまってからはもう取り返しがつかないため、ルーを入れる前に皆に声を掛け合います。
 
アレルギー用の具材は全て別に取り分けているかの確認です。
 
意外とこの部分の「一人で判断しない」というのが非常に重要です。
人間には「思い込み」があるので、アレルギー食に関しては特に、「皆で確認する」ことが重要です。
重要なんですが、これを一人で行っている現場もあります。(結構多い)
給食業界には意外と多い、いわゆる❝無口な職人肌❞の調理員に多い傾向です。
 
 
ここからは全校生徒分のルーの入ったシチューの調理に関わった調理員はアレルギー調理には手を出しません。
近くにもできるだけ寄らないようにします。
 
予め、ルーに関係していない調理員をアレルギー食調理担当者として決めておきます。
 
 
あとは、担当者がアレルギー食専用のコンロで調理をします。
調理と言ってもこの場合はほとんど完成しています。
 
再び加熱し、とろみをつけるため片栗粉を加え、ほうれん草を最後に加え、味を整えます。
 
最後に温度を計って完成です。
 
 
味見と最終確認は3人で行います。
 
まず調理担当者、続いてチーフ(業務責任者)、最後に栄養士の確認。
 
その後に校長先生の検食も待っています。
 
 
それらが全てクリアになれば子供の元へ給食が運ばれます。
 
僕の学校の場合には、アレルギー食は必ず大人(担任教師)に手渡ことになっていました。
 
子供には絶対に直接渡しません。
 
 
 
これで、私達調理員としての仕事は終了となります。
 
一見穴は無いように見えますが、先程も言ったように、「皆で確認する」という一番重要であるはずの項目が抜けている現場が多くあります。
 
アレルギー事故の場合、この項目が最も重要で、最も大きな穴となります。
 
 

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アレルギー事故が起き続ける理由

アレルギー対応の複雑化

 
何度も言っているように、「皆で確認する」のが重要なわけですが、確認しきれないほど複雑なアレルギー対応をしている学校も多くあります。
 
 
例えば、「シーフードクリームシチュー」というメニューがあったとします。
 
その中身は「エビ」「イカ」が入っているとします。
 
そして、「牛乳」「エビ」「イカ」のアレルギーの児童がそれぞれいたとします。
 
牛乳が食べられない児童1名
エビが食べられない児童1名
イカが食べられない児童1名
エビイカ両方食べられない児童1名
 
 
この場合、僕が自信を持って大丈夫と判断できるのは牛乳が食べられない児童1名のアレルギー食だけです。
 
その理由は単純です。
牛乳アレルギー以外のアレルギー食は全て白くて中身が見えないからです。
 
 
味見はあくまで味見なので、その料理を全て食べきるわけにもいきません。
せいぜいお玉でかき混ぜてエビが入っていないかを探るくらいしか出来ません。
 
しかも、エビは入っているけどイカは入っていないかの確認。
イカは入っているけどエビは入っていないかの確認。
エビイカ両方入っていないかの確認。
 
複雑すぎます。
 
 
それに加え、学校の規模によっては何十人といった対応をする場合もあります。
 
 
一番いいのは一人一人のアレルギー食材に関わらず、「牛乳、エビ、イカ」全てを除去した食事を全てのアレルギー児童に提供する方法です。
 
全て除去して一つの料理としてシンプルな構造にすれば間違いは少ないでしょう。
 
ですが、変に真面目な栄養士は一人一人対応しようとします。
 
 
アレルギー食は一切対応するべきではないというのが僕の考え方ですが、対応する場合であっても、出来るだけシンプルな構造にしなければこの先もアレルギー事故は起き続けるでしょう。
 
 

調理師免許は医師免許ではない

 
食育の方針でも話しましたが、調理師免許の勉強範囲にアレルギーに特化した分野はありません。
 
あっても1ページくらいなものです。
 
そして調理師免許の合格率は60%を超えています。
 
僕もバイトの休憩中の3ヶ月の勉強期間で合格しました。(テルオ高卒)
 
はっきり言って誰でも合格できる資格です。
 
 
そんな資格保持者に、アナフィラキシーのような重度のアレルギー児童の食事を作らせるなんて自殺行為だと僕は思っています。
 
言い過ぎかもしれませんが、殺人行為です。
 
 
勿論それを教育するのも栄養士の仕事なわけですが、栄養士のレベルも様々です。
 
僕も実際に4人の栄養士と仕事をしましたが、月とスッポン程の差がありました。
 
月の方の栄養士は、安全性を高めるために僕が一番❝マシ❞だと考える「全てのアレルギー食材を除去した食事を一律に提供する」方法を取っている栄養士です。
 
スッポンの栄養士は、細かく一人一人除去をさせ、そのくせ自分ではあまり把握できていないため、調理員の「大丈夫です」を信じている栄養士です。
 
 
こんな現状ではアレルギー事故は今後も起き続けるでしょう。
 
 

親の無責任さが子供の命を奪う

 
僕がアレルギー対応において最も懸念を抱いているのがこの親の無責任さです。
 
勿論、アレルギーを持つ子供の親も「きちんと対応するので任せてください」という学校の言葉を信じて任せているのでしょうが、実際に食事を作るのは大卒の管理栄養士ではなく、高卒のヤンキー上がりの合格率60%超えの調理師です。
 
はっきり言わせてもらえれば、育児放棄にほかなりません。
 
 
「ちょっと肌が赤くなる」程度ならばいいのかもしれませんが、一滴でも口に入れば死の恐れのあるアレルギーを持つ子供の食事を他人に任せるというのは、どういう神経をしているのか理解できません。
 
そしてそれを「任せてください」と言って受ける栄養士も勿論理解できません。
 
 
「大丈夫!」と言って強引に集団的自衛権の法案を通す政府を避難する資格はあなた達にはありません。
 
 
全く同じことをしているんですから。
 
 

いじめよりもまず子供の命

 
僕の大嫌いだった他の調理員の社員やパート達はよく、他の児童と❝見た目が違うアレルギー食❞を食べる児童に対してこんなことを言っていました。
 
「みんなと同じものが食べられなくてかわいそう!」
 
「出来るだけみんなと同じような料理を作ってあげなくちゃ!」
 
 
一緒にニコニコ笑顔で話を聞いていた社員のテルオは、実はこう思っていました。
 
 
バカか!?
 
違うものは違うと教えるのが大人の役目なんだよ
 
お前のような大人がいるから子供は死ぬんだよ
 
お前が「みんなと同じに」って習ってきた日本のクソ教育をこれからの子供達に相続させるんじゃねーよ
 
 
 
常識なんてクソくらえです。
 
人間は一人一人違うのが当たり前です。
 
性別も違えば、心の性も違います。
 
運動機能も、得意分野も違います。
 
考え方も、アレルギーも違います。
 
 
みんなと違うからかわいそう
 
 
こんなことを平気で言っている調理員も子持ちのパートも全員嫌いでした。
 
吐き気がするほどに。
 
 
 
大人がやるべきことは、人と違うことは当たり前のことと教えることで、
みんなと違う人間を差別し、いじめることは、人間としてクズだと教えることです。
 
 
いじめられないために安請け合いして子供を殺す。
 
そんな立派な考え方にヘドが出る。
 
 

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それ相応の対価を払わなければ学校給食は崩壊する

 
学校給食には夏休み冬休み春休みがありますが、その休みの期間には研修というものが幾つかあります。
 
それぞれの会社が独自に行う研修もあれば、学校給食協会なるものが主催する研修もあります。
 
学校給食協会主催の研修には、学校給食業務を行う色々な会社が参加します。
 
なので、数百人、下手すりゃ千人を超える規模になります。
 
僕も何回かこの研修を受けましたが、その講演の壇上に立つのは教育委員会だったり、保健所の人間だったり、ナントカ省の役人だったりします。
 
大体「そんなこと知ってるよ!」といった話が多いので、結構居眠りをしている給食会社の調理員も多くいます。
 
僕は意外と、いわゆる❝身分が高くて頭の良い人間❞の話を聞くのが好きなので、結構居眠りせずに聞いていました。
 
たぶん誰も覚えてはいないでしょうが、今でも忘れずに覚えているナントカ省の女性役人の言葉があります。
 
 
「給料が安いなんて言い訳です。あなた達はプロなんですから、給料がいくら安かろうとプロとして、子供達に安全で、美味しくて、アレルギーの子供達にも同じ最高の給食を提供する義務があるんです。」
 
 
全くその通り
 
と言いたいところですが、きれい事は僕には通じません。カネです
 
こんなこと誰も言えないだろうと思うので、給食を辞めた僕が代わりに言います。
 
カネなんです。
 
 
一滴でも混入すれば即、死につながるような食事を毎日神経をすり減らしながら提供していることに対する対価は、それ相応の金額であるべきです。
 
バカもおだてりゃ木に登ると思っているんでしょうが、僕は学歴はありませんが、バカではありません。
 
バカではないため、おだてられても木には登りません。
 
 
子供を死なせないためには人間にカネを使わなければなりませんし、カネを使わないのであれば、調理員の負担を給料に見合った所まで減らすべきです。
 
きれい事で、そんな人を馬鹿にしたような態度では、人間の命は守れません。
 
 
子供の命を守らせたいのであればカネを使え。
 
カネを使えないのであれば、学校給食は崩壊するでしょう。
 
 
 
ちなみに、学校給食調理員として働いている人間の多くは、副業としてアルバイトをしています。
特に、家族持ちの男性社員は。
 
そういうのレベルの給料だということです。
 
 

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アレルギー食を学校に任せる前に一つだけ確認するべきこと

 
僕はこの国の食育の考え方そのものに疑問を抱いていますが、その中でもまず、学校のアレルギー対応食の提供をやめるべきだと考えています。
 
いや、アレルギー対応をやめるやめないの前に、アレルギーを持つ親は子供に弁当を持たせなくてはいけないと考えます。
 
いくらアレルギー食の対応を学校がしたくても、保護者から「弁当を持たせる」と言われれば学校は「そうですか」と言うしかありませんから。
 
そしてはっきり言いますが、健康な子供ならばまだしも、重度のアレルギーを持つ子供の食事を他人任せにするのは、親の保護責任者としての義務の放棄です。
 
放棄したいのならば別に構いませんが、それならば事故が起きても騒ぎ立てないでください。
 
それでも、どうしても❝ある事情により❞親としての義務を学校に押し付けたいのであれば、一つだけ確認してから考えましょう。
 
 
 
僕が学校でアレルギー食を作っている当時、最も大事なことのはずなのに、一度も誰もしながったことがあります。
 
それは、アレルギーを持つ子供の親が一度も給食室を見に来ないことです。
 
 
僕は調理員なので栄養士の詳しい仕事内容は分かりませんが、親がアレルギー食を学校にお願いする際、栄養士と何度も面談するはずです。
 
その結果学校にお願いするわけですから、栄養士の言葉を信頼してのことだと思いますが、給食を実際に作るのはその大卒の管理栄養士ではなく、高卒のヤンキー上がりの合格率60%を超える調理師です。
 
ならば実際に作る所をその目で確認してください。
 
 
たぶんお願いすれば調理中に中に入ることも可能だと思います。(入れてもらえないというならば❝人には見せられない作業❞をしているということ)
 
そして自分の目で、アレルギー食をどうやって作っているのか確認してください。
 
 
確認のポイントは
 
アレルギー物質とアレルギー除去の食材をどうやって分けているのか(アレルギー担当の調理員はアレルギー物質に触れた作業をしていない調理員かも確認)
 
アレルギー調理の際に確認はしているか(一人だけではなく複数人で確認しているか)
 
「アレルギー対応の複雑化」で話したような、複雑で確認のしようもない方法をとっていないか
 
栄養士は調理員の言葉を信じるだけではなく、栄養士自らの目で一人一人のアレルギー食を確認しているか
 
この4点を確認してください。
 
 
 
いずれにしても、他人に任せるということは、今まで話したように、リスクが伴うということも理解しておいてください。
 

 




テルオ的まとめ

 
今日は、僕の学校給食調理員として働いていた際に感じたアレルギー対応の危険性の話をしてきました。
 
基本的に、自分の子供を他人任せにしてはいけません。
 
しかも、保護者の方は校長や担任や栄養士とは顔を合わせますが、調理員とは顔を合わせません。
 
実際に子供の給食を作っているのは調理員です。
 
大事な子供の食事を、名前も顔も知らない合ったこともない人間になぜ任せられるのか。
 
僕は本当に疑問でした。
 
 
みんなと違うからかわいそう
 
 
そんなあなたの時代遅れの常識とやらを、これからの子供に相続させてはいけません。
 
 

「学校給食の仕事が辛い!」激務の理由シリーズ
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  4. >>【そもそも、子供と給食が嫌い編

 

 

 
 
 
 
 
 

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