こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
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学校給食関連のことを書くときはいつも言っていることなのでもう 聞き飽きた感はあろうかと思いますが、僕は現役中、学校給食の子 供に対する考え方、国の食育の考え方、学校給食で働く人間、 栄養士、その全てに疑問や嫌悪感を抱いていました。
今はもうその仕事を離れていますが、こうしてブログにしようと思 い出しただけでいまだに胃酸がこみ上げてくる感覚があります。
でもなんだかんだ言って、書くことは好きだし、何より自分の経験 で書けるので、「楽だし楽しい」というのはあります。
この間も、お問い合わせから「最近学校給食で働き始めたが、早速 熱中症になってしまい、今日は休んでこのブログを読んでいます」 なんてメッセージを頂きました。
そういうメッセージも僕にとって「書いててよかった!」と思えて 、更に楽しい気持ちで学校給食のクソな内容を書く気になれます。
今までこのブログには『お問い合わせ』しか設置していなかったの で、このメッセージを機に『コメントを残す』 欄を設置してみました。記事の最後のもう少し後ろの方まで行けば 設置してあります。
そこに書いた内容は、基本、公開されますので、公開されてもいい よという方は是非コメントを残してみてください。( コメントがあると僕もめっちゃ喜びます)
もう一つ、さっきのメッセージを送ってくれた方なんですが、僕も 嬉しくてすぐに返事を書いて送信したんですが、宛先不明で何度送 っても戻ってきてしまいます(泣)。
内容はきちんとしていていたずらではないと思うんですが、入力し たメールアドレスを確認していただければと思います。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、今日は学校給食でもう 常識となっている『ドライシステム』の不満について話していきま す。
高卒調理員の僕にはこのバカげたシステムが全く理解できませんで した。
もくじ
学校給食のドライシステムとは?
せっかく自分の経験を思い出して楽しく学校給食のクソな内容を書 いているので、ドライシステムについて調べて引用して···とか いう面倒なことはしません。
僕の理解と記憶と経験だけで話していくことにしますね。
ドライシステムというのは、一言で言うと「床を濡らさない」とい うものです。
昔だと、床は水でじゃんじゃん流せば綺麗になるという考え方で、 作業中も水は流し放題、作業終了時もホースやバケツを使ってい水 を流して「あ〜キレイ!」としていました。
しかし現在は、「床に水は一切流さない」「水がこぼれたらすぐに 拭く」というのが学校給食では常識となっています。
ちなみに、僕が今でも続けている飲食店でも何年か前にこのドライ システム導入の流れがあったんですが、「不可能」ということです ぐにやめました。
別に法律じゃないんで従う必要はないし、ドライシステムとは要は 『食の安全』というものを目的としているので、「食中毒さえ起こ さなければ別にかまいやしない」ということなんですね。
ですが、学校給食の場合には、私達調理員が「めんどくせぇ」でや められる話ではないんです。
教育委員会が決めていますから、そこから委託されている末端の調 理員は従わなければいけないんです。
ドライシステムが食の安全に繋がるとは?
ドライシステムが食の安全に繋がるとは一体どういうことなのかと いうと、調理師免許の勉強をしたことのある方ならば知っていると 思いますが、調理施設では『床上60センチ』 というルールがあります。床上60センチの間には食品を置いてはいけないというものです。
それは、床にはこぼれている水の上を人間が歩けば、床の汚い水が 跳ね上がって食品に付着してしまう可能性があるからです。その跳ね上がる距離が大体60センチ以内だということから、床上 60センチというルールがあります。
ドライシステムにすることによって水は床に無いことが前提なので 、その危険を限りなく低くすることができます。
それと、菌の問題があります。
菌の発生条件は、温度と栄養と水分です。
栄養とは生ゴミのことですね。昔はこの生ゴミを水をぶちまけて流 していたんです。現在は更に、ドライシステムを導入することによって、この水分も 無くそうとしているんです。
水を流さずに床に落ちている生ゴミを掃除しなくてはいけないので 、ドライシステムが常識となってから建てられた新施設は全て、床 の隅々まで掃除ができるように工夫された造りになっています。( 冷蔵庫や各種大型機械の床との隙間を多く取り、床下を覗きやすく する等)
僕の飲食店ではこのドライシステムに合わせた造りになっていなか ったためにすぐにやめた、というのも理由にあります。
そしてそこで働く調理員としても、床に水たまりが無いことで、滑 って転ぶといったリスクを減らすことができます。
ドライシステムとは良いことばかりのようですが、さすが公務員。頭が固くて、高卒調 理員の僕には理解不能なことがありました。
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洗浄作業時のドライシステムの教育委員会のクソな考え方
ドライシステム
素晴らしいですね。素晴らしすぎて、ヘドが出ます。
洗浄作業時のドライシステム
学校給食の仕事では、午後は洗浄の作業がメインの仕事になります 。全クラスから戻ってきた食器や食缶を洗浄する作業です。
僕の経験で言うと例えば、700食程の提供の現場では、従業員11人で約2時間程の作業時間がかかります。めっちゃ頑張って2時 間です。
洗浄作業を❝めっちゃ頑張る❞ためには、床が水浸しになります。
学校給食では野菜を3層のシンクを使って3回洗うというのがルー ルなんですが、洗浄でもこのルールが適用されます。
例えばご飯が入っているバットだと、
- 残っているご飯を生ゴミに捨てる
- バットに付着しているご飯粒を水で洗い流す
- 洗剤で洗う
- 綺麗なお湯で洗う
- 最後に綺麗なお湯で流す
これが食缶一つの洗浄の流れです。これをめっちゃ頑張って全クラ ス分行います。
あんな大きい入れ物の箱やバケツのような食缶をめっちゃ頑張って 何十個も洗うと、どうしても床が水浸しになります。
給食の食缶とはこういったものです。
懐かしいですね。
牛乳、ご飯、スープ、おかず、サラダ等に食缶を使いますので、基 本1クラス5つ程の食缶を1度の給食で使います。
小学校の場合、1学年3クラスで6学年あれば食缶の数は単純計算 で90個になります。そこに職員と主事さん(昔で言う用務員)の 分を足すと食缶の数は100個になります。それらを上で書いたよ うな流れで1つ1つ洗っていきます。
洗浄するモノはもちろん食缶だけではありません。食器、箸スプー ン、トングやお玉類、給食をクラスに運ぶために使うワゴン台車、 全て洗います。めっちゃ頑張って。
それらをめっちゃ頑張って洗うと、後片付けまで含めて約2時間程 の時間がかかります。2時間めっちゃ頑張って作業すると洗浄室中 の床が水浸しにになります。
教育委員会の考え方だと、「シンクの中で洗うんだから床に水がこ ぼれるはずはない」という考え方なので、いちいち床の水をかき出 す作業を途中途中にはさみます。
こぼれるはずのない水が床にこぼれていることなど許されませんか らね。
これはいいんですが、教育委員会はさらにやってくれます。
床に水がこぼれるはずがないという前提
洗浄作業ということなんで、体が濡れないようにビニール製のエプ ロンを身に着けて洗浄を行います。
こんな感じのやつです。なんか❝冷たい❞印象のエプロンです。
見たことある方もいるでしょう。スーパーの魚屋さんとかでよく身 に着けている人を見かけます。
教育委員会は「水が床にこぼれるはずがない」という前提と「作業 員の身体への負担軽減」を理由に、僕がいた世田谷区では洗浄用エ プロンを膝下で切らされます。
もちろん長靴も水をぶちまけるわけではないのだから「必要なし」 ということで短靴です。
現実的に、めっちゃ頑張って洗浄作業を行うと水浸しになりますか ら、作業員は全員膝下から靴の中まで水浸しになります。
ですが教育委員会は「そんなはずない」との考え方なわけです。
「そんなはずはない」のであれば、そもそも洗浄用のビニールエプ ロン自体必要ないと思いますが、そこはさすがに··· ということなんでしょうか。矛盾しています。
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現場の人間にとって教育委員会は顔が見えないからバカとし か思えない
床に水がこぼれるはずがない
「ルールをどうやったら守れるのかを考えるのはお前達の仕事だろ 」
そう言うと思うんですね。教育委員会は。
やろうと思えばべつに、できるんです。
ただ、倍の時間、いや、倍以上の時間がかかります。
公務員と違って委託会社は民間会社なので、もちろん床に水がこぼ れないように時間をかけて洗浄作業を行ったことによる残業代なん て出るはずもありません。
しかし公務員はそんなこと知ったこっちゃないわけです。企業努力 でなんとかしろってなもんです。
しかしこの問題を本気でどうにかしようなんて考えている会社はな いでしょう。バレなきゃいいわけですから。
教育委員会が毎日の洗浄作業を監視しているわけではありませんし 、栄養士だってそんなのいちいち見ちゃいません。(見られたら言 われますが)
私達現場の人間もそんなこといちいち会社に言ったりしません。「 面倒なヤツ」と思われるだけだし、何よりバカ正直に問題提起をし て作業時間が多くかかっても、時間外労働手当なんて出るはずがな いことを知っていますから。
私達高卒は黙ってずぶ濡れになって床を拭いて靴下を履き替えて娘 に「パパ足臭い」と言われるだけです。
これ、いったい何なんでしょう。
床は濡れるし
足臭いし
誰も得しません。
細かいことかもしれませんが、僕はこの毎日のコントのような流れ にヘドが出ていました。誰も得しないことを、上からの指示だからといって黙って従い、黙 って靴下を履き替えて、黙って足が臭い。
「じゃお前が言えばいいじゃん」
そう言われると思うんですが、そんな面倒なことを頑張るほど、給 食調理員はお金を貰ってはいません。
僕の基本的な考え方としては、「自分の仕事に見合ったお金を貰わ ないと動かない」というものです。
ただでさえ学校給食調理員は衛生管理に日々神経を使って徹底して います。少しでも混入すれば即命に関わるようなアレルギー食も毎 日作っています。
そもそも、それに見合う賃金は頂いていないと僕は思っています。
なので、更に自分の負担になるような面倒なコトをおこす気にはな れません。多分調理員は皆そういう考え方でしょう。
考えるべきは、公務員だと僕は思っているわけです。
ですが、公務員はルールを作れば自分の仕事は終了したとの考え方 です。(たぶん)
ルールは作った。
できるかどうかなんて知ったこっちゃない。
企業努力で何とかしろ。
出来なきゃ出来る業者に代えるまで。
素晴らしい仕事です。
「お前らは頭がないからオレ達がルールを作ってやってるんだ」と 言うわりには、現実に出来るかどうかの面倒な問題は頭のない人間 に任せるんです。
素晴らしい仕事です。
高卒の僕は知りませんが、こういうことを大学では学ぶんでしょう か。
なんでしょうか。経営学なんでしょうか。素晴らしい学問ですね。
その学問の中には『低学歴の人間にバカにされていると感じさせな い論』という分野はないのでしょうか?
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「バカにされている」と感じれば動かない人間もここにいま す
そんな素晴らしい学問を学んだ公務員に無条件で従うのがクソ嫌に なったというのも、僕が学校給食を辞めた理由の一つです。
高卒でも、人にバカにされているかどうかはかろうじてわかります 。
多くの高卒の学校給食調理員はバカにされていることに気付いてい ないか、もしくは気付いていないフリをしているか、もしくはバカ にされることに慣れてしまって麻痺しているか、そのどれかです。
学校給食の講習会でナントカ省の役人(たぶん文部科学省か厚生労 働省だったと思う)のおばちゃんがこんなことを言っていました。
「給料が少ないなんて言い訳はしないでください。あなた達はプロ なんですから、どんなに給料が安かろうと、プロとしての仕事をし てください。」
国の役人も学校給食で働く人達の給料が低いことは認識しています 。それでもプロとしての仕事を要求しています。
この話を聞いて「そうだ。俺達はプロなんだ!」と気合を入れる調 理員も多くいたでしょう。
僕は残念ながらバカにされているとしか感じませんでした。プロと しての仕事に対するそれ相応の対価を貰わなければ僕は動きません 。
こう考える人間は、学校給食を離れていくか、勉強して更に上の地 位を目指すかのどちらかになります。
どちらにしても、学校給食調理員としての仕事には見切りをつける ことになります。
優秀な人間は学校給食の現場の仕事からは遅かれ早かれ足を洗うこ とになります。僕は別に優秀でもなんでもありませんでしたが、実 際に僕が学んだ優秀な調理員は会社を辞めていきました。
大学で学問を学ぶのであれば、ついでに『高卒にバカにされている と感じさせない論』も同時に学ぶようにしてください。
それを学ばなければ、優秀な学校給食のカリスマでも現れない限り 、学校給食は崩壊します。
テルオ的まとめ
学校給食には様々な❝面倒なルール❞が存在します。
目に見えるものが理由である場合は素直に従えますが、目に見えな いものが理由の場合には、なかなか素直に従えないのが人間です。
目に見えないものを理由としてルールを作るならば、実際にそのル ールを守らせたい人間に説明して納得させることも同時に行わなけ ればいけないと僕は思うんですが、公務員はそこまで仕事をしませ ん。
公務員の仕事はルールを作り、後はそのルールを守れる業者を選ぶ だけです。
ですがそのルールが現実的に無理がある場合、公務員は見て見ぬふ りをします。
やらなくても見て見ぬふりをして済むルールって、いったい何なん でしょうか?
現場の人間も足がずぶ濡れになっても一応ルール通りに仕事は行い ますが、❝何も言われない❞ことを知っているので、どんどん適当 になっていきます。
高卒の低賃金の労働者に、そんな事柄に面倒な戦いを挑む理由など ありませんから、足が臭いくらい我慢して働きます。
僕は、そんな公務員にも、黙って従う調理員にも我慢ができません でした。
我慢を我慢と感じない人間ならば楽だったんですが、そんな義務教 育に疑問を感じてしまった僕には耐えられませんでした。
今頃僕の元の同僚も靴下を履き替えて頑張っているんでしよう。