神奈川県の学校給食で相次ぐ異物混入の原因と対策を元学校給食調理員が探る

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こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
 
 
神奈川県大磯町にある2つの町立中学校で、去年の給食開始の1月から84件もの異物混入が相次いでいるとの報道がありました。
 
僕の経験上、異物混入を100%防ぐことは不可能ですが、84件というのは有り得ないほど多い件数です。
 
今回の場合、この原因は神奈川県教育委員会にあると僕は考えています。
 
であるならば、その学校へ通う生徒の親がとるべき対応策は1つしかありません。
 




神奈川県大磯町学校給食異物混入の概要

神奈川県大磯町にある2つの町立中学校で、業者に委託して提供されている給食の食べ残しが相次ぎ、町は給食が冷めた状態のうえ、髪の毛や虫などの異物の混入が原因だったとして、温かい汁物の提供を始め、業者に対して再発防止を徹底させることになりました。
 
大磯町にある町立の大磯中学校と国府中学校では、去年1月から業者に委託して給食を始めていて、業者が工場で作り1人分ずつ容器に入れて学校に運んでいますが、ことし5月から7月までに1日平均でおよそ26%の量の食べ残しがあり、多い日では55%もあったということです。
これは、平成27年度の全国の小学校などの給食の食べ残しの量およそ7%と比べて大幅に多くなっています。
 
引用:http://www3.nhk.or.jp
 
神奈川の中学校で提供されている給食の中から、昨年の1月の給食開始以降84件もの異物混入が確認されているという、これはもう事件と呼ぶべき問題が発生しています。
 

残食率の高さは「まずさ」と「異物混入の不安」が原因

 
僕は東京都で各学校内にある給食室で給食を作っていましたが、1つの学校で84件の異物混入というのは、ちょっと考えられないくらい多い件数ですね。
 
そして今年5~7月の食べ残しの割合(残食率)は、平均で26%、最も多い日で55.3%ということで、これも僕の経験上では考えられないくらいに多い残食率です。 
ちなみに全国平均は6.9%とのこと。
 
 
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画像引用:amp.tokyo-np.co.jp
 
 
今回問題になっている神奈川の給食のタイプは、学校外にある工場で作られたお弁当タイプの給食です。
 
その為、学校内の給食室で作られる給食よりも冷めた給食になってしまいます。
 
この給食は「まずい」と評判のようですが、勿論味付けの問題もあるのでしょうが、この冷たさもまずさの原因でしょう。
 
そして、異物混入が相次いでいることから、「また何か入ってるんじゃないの?」という不安からも「まずい」となってしまうのだと思われます。
 




神奈川県教育委員会の対応の問題点

 
まず、ここまで有り得ないほどの異物混入の件数になる前に、東京都の場合でしたら給食業者はとっくに契約解除になっています。
 
東京都に比べて神奈川県教育委員会のこれまでの対応がずさんだったことは言うまでもありませんが、何よりも驚きなのが、神奈川県の今後の対応です。
 
  • 給食業者との契約期間がまだ残っているので契約解除ができない。
     
  • 食中毒等の重大な事件にはなっていないので契約解除の対象にはならない。
 
よって、対応としては、温かい味噌汁をつけることと、希望する生徒お弁当持参可とするという対応です。
 
 
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画像引用:www.sankei.com
 
 
しかし、このような対応では根本的な解決にはなりません。
 
 
製造工場への立入検査はしているようですが、その多くは「原因不明」というものです。
 
通常でしたら原因が特定されて改善策を講じるまで給食中止が普通の対応なんですが、神奈川県は、ちょっと、こう言ってはアレですが、危機意識が全く無いようです。
 
 
東京都と神奈川県の仕組みの違いがよく分かりませんが、給食業者との契約内容が東京都とはだいぶ異なるよようですね。
 
何度も言いますが、東京都でしたらとっくに契約解除になっている事案です。
 
 
東京都の皆さん、安心してください!(^^)
 

異物混入の問題点はどこに?

 
異物混入は100%防ぐことは不可能です。
 
特に、まつ毛や眉毛。
 
 
髪の毛は帽子やヘアネットで覆っているのでまだ安心ですが、まつ毛や眉毛は露出した状態での作業になるので100%は不可能です
 
しかし100%は不可能とは言っても、僕が学校給食で働いていた約4年半の間に自分の現場で髪の毛やまつ毛、眉毛が混入していたというのは、多分1件あったかないかです。
 
 
1件あったかないか
 
 
100%不可能であっても、きちんとルールを守って全員が気を付けていれば結果はこうなります。
 
他にも虫やプラスチック片が混入していたということですが、僕の4年半の経験上ではどちらもありませんでした。
 
 
何が言いたいのかというと、100%は無理でも、全員が高い意識を持ってルールを守ることによって、限りなく100%に近付けることは可能だということです。
 
 
84件中、明らかに給食を製造する工場内での混入が認められるものは15件ということで、工場側はそれ以外は私達の責任ではない可能性があるとの姿勢のように報道から僕は感じましたが、そもそも15件だとしても多い件数なので、「信用できない」というのが正直な僕の感想です。
 
また、県の立ち入り調査の際に「マスクをつけていない従業員がいた」とも言われており、こういう状況では益々信じることができませんね。
 
 
 
この問題の原因は、給食も中止せず業者との契約も解除しない神奈川県教育委員会の甘さにあり、その教育委員会の甘さがゆえに、者も危機意識が薄いという点に、全ての原因があると言えるでしょう。
 
だって、84件も異物混入があっても営業停止になることもなく仕事を続けられるわけですからね。
 




問題が明るみに出た以上、親がとる対策は一つしかない

 
異物混入が相次いでいる大磯中学校では、希望の生徒はお弁当を持参することが認められていますが、クラスの半分ほどの生徒しかお弁当は持参していないと言います。
 
テレビのコメンテーターは「お弁当をつくるとなると親の負担が増えて大変」と言いますが、問題がこうして明るみに出た以上、お弁当を持たせずに子供が異物を口にした場合、これはもう「親の責任である」と僕は言っておきたいと思います。
 
 
子供の食事を親がつくるのは当たり前の行為です。
 
 
学校がこういう問題のある業者を放置している以上、親が子供の命を守るしかありません。
 
いくら学校へクレームを入れても、証拠写真を残しても、意味が無ということが今回わかりました。
 
これに対する対応は、実は凄くシンプルで簡単です。
 
 
お弁当を持たせる
 
 

これだけで異物混入から子供を守ることが可能です。

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