こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
この前テレビで「学校の先生の給食が少なすぎる」 という特集を見ました。
確かに、僕も現役中から「先生の給食少なっ! これじゃ足りないだろ…」と思っていました。
ですが私達調理員としては、 学校栄養士の指示に従って教職員の給食量を決めているので、 調理員の立場からはどうにもできない問題です。
子供達のクラスの給食量にしても、先生の給食量にしても、 決めているのは栄養士ですが、 学校によっても栄養士によっても一人分の給食量には差が出ます。
先生は大人だから多めに
と考える栄養士と、
子供達の給食を多めに
と考える栄養士によって差が出るんですね。
ですが、子供のクラスにしても、 クラスによっては規定量よりも給食の量を“ある理由により” 減らされる場合もあります。
今日はそんな『給食の一人分の量』について、考え方や計算方法、 子供の給食量を増やす方法を紹介します。
学校の先生の給食の量がなぜ少ないのか
まず基本の話ですが、 子供の年齢に合わせて学校の給食の一人分の量は決められています 。
小学校の場合だと
- 1〜2年生(低学年)
- 3〜4年生(中学年)
- 5〜6年生(高学年)
といったように、低学年、中学年、 高学年と3段階に分けて一人分の量に差を出しています。
中学校の場合は簡単で
- 全学年同じ量
になっています。
では、 大人の先生の給食一人分の量はどうなっているのかというと、 中学校の先生の場合は全校生徒と同じ量になります。
中学生はほぼ大人扱いなので、 小学生よりは勿論一人分の量も多く、 中学校の先生もそこまで少ないとは感じないでしょう。
問題は小学校の先生です。
小学校の先生の給食一人分の量は、高学年と同じ量です。
つまり、小学5〜6年生と同じ量が先生一人分の量になります。
小学校の先生は小学生と同じ量しか食べられないんですね。 なので小学校の先生の給食は少ないんです。
給食の量に一番差が出るのは実は先生
小学校の一人分の量は学校によって多少違いが出ますが、 一番違いが出るのが実は、先生の給食です。
僕は東京都の小中学校合わせて4校で調理経験がありますが、 同じ教職員でも学校によって先生の給食一人分の量は結構な違いが ありました。
その理由は最初に話した
- 先生は大人だから多めに
- 子供達の給食を多めに
この栄養士の考え方の違いによるものです。
「給食は子供達のもの」という考え方の真面目な栄養士ほど、 先生の給食一人分の量は少なくなる傾向にあります。
例えばご飯の場合、 でっかい炊飯器を何台も利用して全校分を一気に炊き上げ、 計算してクラスごとに分配していくんですが、 足りなくなったら面倒なので、 最後少し余るように分配していくんです。
余ったご飯は栄養士の指示で配分することになります。
- 何かあったときのためにそのまま残しておく栄養士(
リスク回避タイプ) - 全クラス、または、よく食べるクラスだけに配分する栄養士(
子供ファーストタイプ) - 職員の給食に足す栄養士(大人ファーストタイプ)
栄養士はこのどれかのタイプに分かれます。
僕が一緒に働いた栄養士達は基本的に「子供ファーストタイプ」 か「大人ファーストタイプ」のどちらかでした。
子供ファーストタイプの栄養士は「給食は子供達のもの」 という考え方から、先生の給食は規定量にし、 余ったご飯は子供のクラスに振り分けます。
その中でも、 毎日残さずよく食べるクラスに多く入れるように指示を受けていま した。
こういうタイプの栄養士は真面目で、僕の印象ですが、 よく仕事の出来る頭の良い栄養士という印象です。
逆に大人ファーストの栄養士は「 先生は大人なんだからこれじゃ少ない」という考え方から、 余ったご飯は職員の給食に多く入れるように指示を受けていました 。
そういう考え方ならばまだいいんですが、 経験の少ない若い栄養士ほど「少ないからもっと増やしてよ」 と言う職員の圧力に負けて先生の給食を多くする傾向にあります。
なかなか難しいところで、僕はどちらが正しいとも言えませんが、 「先生と小学校5〜6年生の給食費は同じ金額」 という事実だけはお伝えしておきます。
給食一人分の量の計算方法
では、学校給食の一人分の量はどうやって計算しているのか。
中学校の給食は全校生徒教職員同じ量なので均等割で一人分の量が 出ます。
単純に例えば、総量50キロのご飯で、人数が300人であれば、 割って一人分の量は166グラムとなります。
小学校の場合は最初にも話した通り低学年、中学年、 高学年でそれぞれ量が違います。
- 低学年:×0.83 ※学校によって(×0.9)の場合あり
- 中学年:×1
- 高学年:×1.17 ※学校によって(×1.1)の場合あり
こういう計算方法です。
中学校の計算方法と同じようにして出た166グラムが小学校の場 合、中学年の量になります。
低学年の場合には166グラムに0. 83を掛けて137グラムとなり、 高学年の場合には166グラムに1. 17を掛けて194グラムとなります。
低学年:137グラム
中学年:166グラム
高学年:194グラム
これが小学校のご飯の量の基本的な計算方法です。
※ 166グラムという数字は分かりやすく中学校の量をそのまま使い ましたが、 実際には小学校の場合総量はこれよりも少なくなるので、 小学生高学年の一人分の量は中学生一人分の量よりも少ないくなり ます。
毎日の子供の学校の給食の一人分の量を知りたいお母さんは、 学校に問い合わせれば教えてくれます。
もし中学年の量しか教えてもらえなかった場合には自分で計算して みてください。
その場合、 学校によって掛ける数字に違いがあるかもしれないので、「 低学年は0.83なのか0.9なのか」「高学年は1. 17なのか1.1なのか」この点も聞いておきましょう。
また、 最初から自分で計算したいお母さんは学校に総量を聞いて自分で計 算してみましょう。
ただ、総量なんて聞いてくるお母さんは皆無なので、 栄養士に驚かれるかもしれませんが(笑)。
残すクラスは給食を減らされる
最初に話した栄養士の3タイプの『子供ファースト』 に注目してみてください。
これはどんなタイプの栄養士であっても、 よく食べるクラスには多くし、 毎日残してくるクラスからは量を減らすということを、 どんなタイプの栄養士であっても行います。
子供達は平等に同じ給食費を払ってはいますが、 毎日残してくるクラスに同じ量を入れても残って捨ててしまうのは 勿体ないので、 食べないクラスは減らして食べるクラスを増やします。
学校栄養士は毎日の各クラスの残食量を記録していますので、 基本どの栄養士もこういう方法をとります。
給食量を増やすには毎日「足りない!」と言うこと
最近では、 子供の授業参観に給食の時間も含まれることもあるかと思います。
親と一緒に給食を食べるといったことをしている小学校も多いこと でしょう。
そこで耳にするのが「ちょっと、給食少なくない?…」 という声です。
確かに大人からすれば子供の給食は少ないと感じるでしょうが、 先程話したように、 残食量が多いためにそのクラスは基準量よりも給食が減らされてい る可能性もあります。
気になるお母さんは学校にその辺の事情も確認してみてから判断し てみましょう。
「給食が少なくて毎日お腹ペコペコ」 だと子供から聞いているというお母さんの声も聞かれますね。
基本的にどの学校でも毎日よく食べるクラスには多く給食を入ると いったことを行ってますので、少なければ先生に「少ない!」 ということを日々アピールすれば給食は増えます。
特に女の子のお子さんなんかは「 給食を沢山食べるのは恥ずかしい」と考えがちです。
そして家に帰れば子供が「お腹ペコペコ」と言うので、 お母さんはその子供の言葉だけで「給食が少ないんじゃないか?」 という意見を持つこともあるかもしれません。
「お腹ペコペコ」 と言う子供には一度その辺のところも確認してみて下さい。
- 恥ずかしがって食べてないんじゃないか
- クラスの給食が毎日残っているんしゃないか
こういったことだと子供のクラスの給食は減らされてしまいます。
給食を増やしたければ、 クラス全体が給食をよく食べなくてはいけません。そして「 足りない!」と、 子供が先生にアピールしなくてはいけないんです。
是非お母さんもそういう事情も知った上で、 給食をよく食べるクラス作りを担任の先生と話してみてください。
テルオ的まとめ
学校の先生は結構学校によって給食の量に差がありますが、 先生なんて大人なんで自分でパンを買ってきて食べることもできま す。
ですが、子供にとったら学校の給食が全てです。
子供は食べることも教育の一部なので沢山食べるべきです。
子供が実際にどれくらいの量の給食を食べているのか知る方法とし て一番いいのは、 先程の計算式を利用して子供が自分の給食の量を計って計算するの が一番確実なんですが、 なかなか子供にそんなことさせられませんよね(笑)。
やってみたいお母さんは授業参観の時にでも計りと電卓を学校に持 って行って計算してみてください(笑)。
「子供の給食が少ない」 と考えているお母さんが取るべき行動として、 僕からのアドバイスとしては
- 子供が恥ずかしがって食べていないかどうかの確認
- クラスの残食量は毎日どうなっているのかの確認
- 残食量が多いならばよく食べるように子供の教育と、
しっかり余らないように子供に給食を分配するようにと担任に相談 - 残食量が少ないならば子供達がまずは先生へ「足りない!」
とアピール
こういう手順で子供の健全な成長を助けてあげてください。