マニュアル人間により失われる人間力「特徴」と「改善」の方法。

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こんにちは。マニュアルなんて何もなかった時代とマニュアルどっぷり時代の両方を生きてきた雲藤テルオ(@undoteruo)です。
 
 
今の社会は急速なスピードでマニュアル化が進んでいます。
 
さてアナタは、
 
マニュアルにまだ反発心がありますか?
 
それとも、
 
マニュアルにどっぷりと浸かっていますか?
 
 
「マニュアル」と聞くと、あのマクドナルドを思い浮かべる方も多いでしょう。
 
マクドナルドのマニュアルはほぼ完璧だと言われており、特に飲食業界ではマックのマニュアルを真似する企業も多いかと思います。
 
僕の飲食店でも多くのマックの人材を引き抜き、マックのマニュアルのノウハウを自社に導入しようという流れが15年ほど前から始まっています。
 
 
そして15年後···、どうなったのか。
 
 
多くの人間がマニュアル化し人間力が失われました。
 
 
今回は、
  • マニュアル人間の特徴
  • なぜマニュアル人間ではダメなのか
  • マニュアル人間改善の方法
こういったことを、僕の体験した「マニュアル人間の教科書みたいな(驚愕の)エピソード」を交えながら話していきたいと思います
 
まずは、マックの真似をして「一人の仕事量が膨大で激務なためマニュアルなんて守っている暇もなくバイトも集まらない」となってしまった多くの飲食店が失敗している原因から話していきたいと思います。
 

飲食店がマニュアル化に失敗している理由

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マックの真似をしてマニュアルを導入した15年後の現在、僕の飲食店がマックみたいに完璧なマニュアル化に成功しているのかと言えば、していません。
 
それはなぜか。
 
それは、マニュアルを導入するための下準備が何もないまま“マック化”を始めてしまったからです。
 
 
僕はマックで働いたことはありませんが、マックで働いていたという人から話を聞くと、マックはマニュアルを“守れるように”お店や組織がつくられているということがわかります。
 
つまり、マックは、マニュアルの上に会社が建っているのです。
 
 
マックのマニュアルを真似した日本の多くの飲食店は、マニュアルが自然と無理なく行えるような設備や考え方が無いままに途中からいきなりマック化するため、理想論だけを押し付けられた現場の末端アルバイトは混乱し「できるわけないじゃんバカじゃないの」ということで反発します。
 
現場では実際にお客様を目の前にしているので、
  • 指示もバラバラ。
  • 専用の機材もないからマニュアルを守るのがクソめんどくさい。
  • そもそも従業員が規定よりも少ないからできない。
  • 社員に聞いても「マニュアル見て」の一言。
  • 社員に質問してもマニュアルの意味を理解していないため解決しない。
という理由から、表のお客様を最優先にし、裏での会社の理想(マニュアル)は置き去りになります。
 
 
しかしそれでも会社のマニュアル化は進み続け、今まで反発していたアルバイトも「わかったよ。やりゃいいんだろ!」ということで、誰もマニュアルの意味を理解しないまま開き直り的にマニュアルに従うことになります。
 
その結果、
  • 誰の指示かなど関係ない。マニュアルに従えばそれでいい。
  • どんなに時間がかかろうと、マニュアル通りにやっているのだから仕方がない。
  • マニュアルに書いていないことはできません。やりません。
  • お客様ではなく、最優先はマニュアル。
こういうことになります。
 
そして会社のマニュアルをアルバイトに流す立場の現場社員は、ニュアルを守ることが仕事であってマニュアルを理解すること等は会社からも求められてはいないため、アルバイトの不満にも応えられない。
 
 
マックの真似をする多くの飲食店ではこいう流れでマニュアル化を進めるため、会社が理想とするマックのような結果にはならないのです。
 

エピソード①「ひじき1袋事件」

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ここで僕の体験したマニュアル人間の教科書のようなエピソードを一つ紹介します。
 
その名も
ひじき1袋事件
 
僕の飲食チェーン店では、レストランと併設の売店でお弁当も何種類か販売しています。
 
販売するお弁当はレストランの厨房で毎日手作りしています。
 
弁当の付け合せのお新香など数種類は全国の店舗共通で真空パックで調理済みのものを使っています。
 
弁当には「成分表示ラベル」が弁当の種類毎に貼ることになっています。
 
この成分表示ラベルは本社からダウンロードされたものを使っているため、各店舗単位で勝手に中身を書き換えることはできません。なので勿論、お弁当の中身を各店舗単位で勝手に入れ替えて販売することもできません。
 
 
そんなある日、お弁当のつけ合わせの「ひじき」を8月31日で終了し、翌日の9月1日に全国で一斉に「きんぴらごぼう」に変更することになりました。
 
9月1日に出勤すると、勿論お弁当の中身は「きんぴらごぼう」で作っているわけですが、冷蔵庫にはまだ未開封の1キロの「ひじき」が1袋残っていました。
 
これをどうするのかと聞くと、使いきれなかったから捨てるのだと言います。
 
こんなに余っているのならなくなるまで「ひじき」を使ってから「きんぴらごぼう」に切り替えればいいのではないかと言うと、「きんぴらごぼう」入りの新しい成分表示ラベルが今朝ダウンロードされて以前のラベルのデータが既に書き換えられてしまっているから「ひじき」はもう使えないのだと言います。
 
 
“データがない”からまだ食べられる「ひじき」を1キロごみ箱へ捨てる
 
 
驚愕しました。
 
 
勿論、そうならないために“うまくやってね”とは本社から言われてはいましたが、1袋1キロの業務用のひじきです。お弁当1個作るためには「ひじき」を1キロ発注しなければいけないわけですし、“うまく”さばき切れるものでもありません。
 
 
更に驚愕だったのは、ある程度の規模の会社では障害者を雇用しなければいけないということもあり、僕の飲食店では知的障害者の男の子が1人働いているのですが、その障害者の男の子が賞味期限がまだ何ヶ月も先の未開封の「ひじき」1キロをハサミで開封しごみ箱へブチ込んでいたのを見たときです。
 
素直で真面目で丁寧に仕事をこなす良い子で、皆からも可愛がられている男の子です。
 
 
この子にこんなことをさせるなんてこの会社はどうかしてる・・・
 
 
 
このエピソードはもう7〜8年前の出来事ですが、多分これを“事件”などと思っている人間は僕以外にはいないでしょう。
 
ですが僕にとっては“事件”であり、今でも忘れられない衝撃的な出来事です。
 

マニュアルにより失われる人間力

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この僕の「ひじき1袋事件」
 
このエピソードを聞いてアナタはどう思いましたか?
 
僕が驚愕した意味がわからないという方は、完全なマニュアル人間であり、人間力が失われてしまっています。
 
それを「改善したい」と思う方は、是非読み進めてみてください。
 
 
 
マニュアル通りに仕事を進める人には2パターンの人間が存在します。
 
  1. マニュアルの良さを理解してマニュアル通りに仕事をする人
  2. 「ハイハイ。マニュアル守ればいいんでしょ。」という人
 
この2パターンが存在しますが、勿論言うまでもなくパターン①の方が良いわけですが、残念ながら多くの人間はパターン②です。
 
「ひじき1袋事件」に関わった全ての人はこのパターン②の人間です。
 
マニュアルを理解している人間ならば「マニュアルは神ではない」ということも同時に理解しているので、そういう人であれば例えば、1週間ほど切り替え期間を設け、その間は両方のラベルを使えるようにしておく等の頭になるはずなんです。
 
そして現場では、僕のように驚愕するはずなんです。
 
 
 
僕が当時、この「ひじき」にいつまでもこだわっていたときに周りの同僚から言われた言葉は、こうです。
 
 
細っかいねぇ・・・
 
 
この言葉を聞いて周りの人間がドッと笑っていました。
 
何が面白いのか。
 
 
僕は貝になりました。
 

マニュアル人間の特徴

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マニュアル人間の特徴と言うか、マニュアル人間の結果と言うべきかもしれませんが、パターン②の考え方で仕事をずっと行っている「自分で考えて答えを導き出すことができない」という人間が出来上がります。
 
その会社に骨を埋める覚悟なのであればそれでいいのかもしれませんが、基本的に、アナタの会社のマニュアルは他の企業または社会または国では通用しません。
 
この事実をパターン②の人間はほとんど知らないでしょうし、会社では“不都合なこと”なので勿論教えてはくれません。
 
今の会社に骨を埋める覚悟であったとしても、会社の方針は変わるものです。
 
 
「自分で考えて答えを導き出すことができない」人間になってしまうというのは、以前話した【会社員を辞め独立した僕が見た、思考停止により搾取され消耗する人々。】の中の「空欄を埋めろ 問題」も読んでもらえればより伝わりやすいのでそちらも是非読んでみてください。
 
直近だと、こういうエピソードもありました。
 

エピソード②「“ソフドリ”事件」

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僕の直近1週間ほど前のホヤホヤのエピソードです。
“ソフドリ”事件
 
どこの飲食店でもそうですが、人員不足の飲食店では夜のピークタイム中は非常に忙しい時間帯です。
 
ホールのアルバイトの女子大生の女の子が厨房に入ってきて「グラスが足りないです」と言います。
 
忙しくてグラスなんて洗っている暇がなくたくさん溜まっているので使えるグラスもなく、とりあえず必要なグラスだけ速攻で洗おうと僕が「何のグラス?」と聞くと、
 
ソフドリ
 
と言います。
 
初めて聞く言葉だったので意味がわからず聞き返しました。
 
 
えっ?
 
 
ソフドリ
 
 
えっ?
 
 
ソフドリ
 
 
えっ?
 
 
ソフドリ
 
 
えっ?
 
 
ソ・フ・ド・リ
 
 
 
正直な話、3回目くらいで「ソフドリ」の正体は「ソフトドリンク」であることに気づいていましたが、いつまで「ソフドリ」と言い続けるのか興味があり聞き返し続けました。(ブログで使えるな。とも思ったので笑)
 
結局周りの他のスタッフが僕に「ソフトドリンクのことだよ」と言いこの流れは止まりましたが、結局その女子大生は最後まで正式名称は口にしませんでした。
 
  • 耳が遠い
  • 「ソフドリ」を知らない
 
何度も聞き返されているということで、普通はこの2つの可能性に気づくはずですが、この女子大生は②の可能性については考えられないようです。
 
正式名称ならばともかく、略しているわけだから「略さない」という選択肢を“普通”であれば選ぶはずです。
 
 
 
また別の日には別の若いバイトから「“シャーシン”貸してください」と言われました。これも初めて聞く言葉だったので何度も聞き返しましたが、何度も「シャーシン」と言い張ります。
 
なぜ「シャーペンの芯」と、略さないという選択肢を選ばないのか
 
選ばないというか、おそらく、その選択肢が頭の中にはないのです
 
 
コイツは耳が遠いかバカか?
 
 
多分僕はその若者たちにはアホなオッサンだと思われているのでしょう。
 
勉強できるけど頭の悪い人間の典型です。特にマニュアルが染み付いた今の若者に多く見られる傾向です。
 
自分たちが普段使っている言葉「ソフドリ」や「シャーシン」が正しく、それ以外の選択肢が考えつかない。
 
「相殺」を「そうさつ」と読み、「続柄」を「ぞくがら」と読む以外知らないのと同じく、恥ずかしいことです。
 

マニュアルは100点満点を目指したものではない

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このように、マニュアル人間になると、自分で考えて答えを導き出すことができない人間に仕上がります。
 
これ以外に、なぜマニュアル人間を改善した方がいいのかという理由がもう一つあります。
 
 
会社のマニュアルというものは、一体何点のものだと思っていますか?
 
100点だと思っていますか?
 
 
マニュアルというものは実は「75点」をつくる作業です。
 
 
マニュアルというものは、全員に同じクオリティを持たせること目的としているため、100点満点のマニュアルを作ってしまうと難しすぎて全員が行うことが不可能になります。
 
しかもマニュアルというものは基本的に「紙1枚のマニュアルを見れば誰でも同じくできるもの」と、できるだけ人手をかけずに教育するためのものであるため、100点満点のマニュアルにしてしまうと紙1枚では収まりきらずに表現も難しくなるため、結局そのマニュアルを解説する人間がまた必要になってしまいます。
 
そういうことでマニュアルとは、紙1枚のマニュアルを読めば誰でも同じくできる「75点」を目指して作っているのです。
 
あなたが金メダルだと思って目指していたマニュアルは、実は銅メダルだったんです。
 
 
ということで、まずはマニュアルとは100点ではなく75点なんだという事実を知ってください。
 
その上で、75点止まりでいいのか?
 
ということを考えてみてください。
 
会社はアナタに75点を求めていますが、アナタがこの先どこの世界へ行っても、お客様がアナタに求めるものは100点の対応です
 
そう考えると、アナタがどんなに頑張ってマニュアルを守っても75点より高い点数を出すことはできないんです。
 
 
それでいいのでしょうか?
 
 
「それでいい」という方はこの先も「ソフドリ」「シャーシン」と言い続けてください。べつに僕はブログのネタが増えるだけなので止めません。
 

マニュアル人間改善の方法

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マニュアル人間を改善する方法を教えます。
 
  1. マニュアル通りに行ってみる
  2. 以前の自分のやり方と比較してみる
  3. 自分のマニュアルを作ってみる
  4. 人に教えてみる
 
この手順を踏めばマニュアル人間を脱することができます。
 
 
① マニュアル通りに行ってみる
意外かもしれませんが、マニュアル人間改善のためにはまずは「マニュアル通りに行ってみる」という手順が必要です。
 
僕も最初はマニュアルというものを毛嫌いしてやろうとはしませんでした。
 
しかし、実は僕もマニュアルを守る人のパターン②のように「ハイハイわかったよ。もう面倒くさいからそんなに言うんならやってやるよ。守ればいいんでしょ守れば。どうなっても知らないよ。ケッ!」という感じでマニュアル人間になった人でした。
 
こういう感じで最初にマニュアルの世界へと入っていった多くの人間はこの考えのまま最後まで行きます。いつまでも「やっぱ前の方がいいよ」という考えのまま最後まで行きます。
 
しかし僕の場合は意外と「あっ、このマニュアル、そんな悪くないかも。いや···、前よりもいいかも···」と、マニュアルの良さを認めるという行動をとってみました。
 
物事は、何事も認めるべきことは認めなければ先へとは進めません
 
マニュアル人間はこの「認めるべきことは認める」という作業をしない人間がなっていきます。こういう人間が大部分です。
 
 
② 以前の自分のやり方と比較してみる
マニュアルの良さを認めると「マニュアルは100点ではない」いうことにも身を持って気づくはずです。
 
その次にやることは以前の自分のやり方とマニュアルとを比較します。
 
そうすることにより、75点のマニュアルには足りない残りの25点にも気づきます。
 
 
③ 自分のマニュアルを作ってみる
残りの25点に気づいたら、次は自分のマニュアルを作ってみましょう。
 
「作ってみましょう」と言うか、25点に気づいてしまったアナタは作らずにはいられなくなります。
 
作ると言っても、べつに自分の頭の中で作ればいいんですが、「紙に書き出す」という行動派の方は更に最高です!
 
 
④ 人に教えてみる
マニュアル人間改善のためにはこの「人に教えてみる」という作業が最も重要なことです。
 
人間は言葉に出して人に教えることによって自分の頭の中が整理され「あっ、オレ、こんなこと考えてたんだ!」と、自分一人で頭の中だけで考えていたのではわからなかった部分にも気づきます。
 
 
 
③④を繰り返すことにより、この作業の楽しさに気づきやめられなくなります。
 
こうなればもうアナタはマニュアル人間ではありません。
 
おめでとうございます\(^o^)/
 

テルオのまとめ

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  • 多くの飲食店がマニュアル化しても理想とは程遠い原因は「マニュアルの上に会社が建っていない」から。
  • マニュアル人間化すると「自分で考えて答えを導き出すことができない」人間に仕上がる。
  • マニュアルは100点ではなく「75点を目指し作られているもの」という事実を知る。
  • マニュアル人間を改善するには、
    マニュアル通りに行ってみる
    以前の自分のやり方と比較してみる
    自分のマニュアルを作ってみる
    人に教えてみる
    この手順を踏むこと。
 
 
僕も以前は「やりゃいいんだろ!」という考え方のマニュアル人間でした。
 
しかし「このマニュアルだけをひたすら守っていたところで、他では通用しない」という事実に気づき、今ではハイブリッド型の人間になりました。
 
 
マニュアル人間がこれからもどんどん増えていきます。
 
そんな中で、ハイブリッド型の人間はそれだけで需要が増すことになります。
 
ここまで読んだ方は是非「ただそこにいる人間」ではなく、どこへ行っても需要のある「自分の頭で考えて答えを導き出せる人間」になってみてください。
 
 
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カテゴリー:仕事論・人生論

 
 
 
 
 
 

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