「たまごかけおにぎらず」で食中毒の危険性!生卵のサルモネラ菌の危険性を学校給食目線で解説!

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こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
 
 
今日は、今話題の「たまごかけおにぎらず」騒動から見る、生卵の食中毒の危険性を考えてみたいと思います。
 
 




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デリッシュキッチンの「たまごかけおにぎらず」騒動の概要

 
料理のレシピ動画を専門に扱うデリッシュキッチンが「たまごかけおにぎらず」のレシピを公開したところ、ユーザーから「食中毒の危険性があるのでは!?」との指摘が多数あり、「直ちに食中毒を起こすとは限らないが危険性は否定できない」ということで、謝罪と共に動画を削除しました。
 
そのレシピとは、簡単に言うと、生卵を一度冷凍し、自然解凍後に醤油に3時間ほど漬け込み、それを温かいご飯で包み込んでおにぎりにするというもの。
 
 
 
では、これのどこが問題となったのでしょうか?
 
 

生卵の扱い方とサルモネラ菌食中毒の危険性

生卵の取り扱い方

 
日本の生卵は基本「生食」も想定しているため、スーパーなどで売られている生卵は殺菌済みのものとなっています
 
そして、スーパーなどでで売られている生卵の賞味期限とは生食できる期間」として表示されています。
 
生食できる期間には前提条件があり、「10度以下で保存」「冷蔵庫から取り出し割ったらすぐに食べる」というものです。
 
これを守っていれば基本的には問題ありません。
 
 
10度以下ではサルモネラ菌はほとんど増殖しないと言われていますが、生卵は古くなればなるほどサルモネラ菌が増殖する危険性があります。
 
10度を超え、特に20度以上となるとサルモネラ菌はよく増殖し、発育至適温度は37度位と言われています。
 
なので、生卵の中途半端な管理による生食は非常に危険です。
 
 
 
よく夏場になると、牛丼屋さんなどでは「生卵の持ち帰りはご遠慮願います」的な張り紙がされると思いますが、これは常温ではすぐに10度を超えてしまうため、危険回避のための措置ということです。
 
 

サルモネラ菌食中毒の症状

 
そのサルモネラ食中毒の症状としては、4~48時間後に発症する事が多く、嘔吐、腹痛、下痢、発熱等、39℃以上の発熱が特徴で脱水症状を示す場合もあります。
 
小児、老人の場合は重症で稀に死に至ることもあります。
 
 

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「たまごかけおにぎらず」で問題となった点

 
今回の「たまごかけおにぎらず」のレシピで問題となった部分は常温放置」の一点です。
 
 
殻付きのままならばまだしも、殻を割ってから3時間も常温で放置し、更に生暖かいご飯で包み込むというレシピになっています。 
 
ご飯で包み込むということは、サルモネラ菌の発育至適温度の37度にピタリと当てはまることになるでしょう。
 
更に更に、「おにぎり」ということなので、外へ持ち歩くことを前提としたメニューです。
 
サルモネラ菌の発育至適温度の37度〜増殖が始まる10度以上で長時間に渡って放置するということは、おにぎりを食べる頃にはサルモネラ菌が爆発的に増えているおそれがあります。
 
 
指摘をしたユーザーもこの部分の危険性を訴えたものと思われます
 
 

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学校給食のサルモネラ菌食中毒回避のための生卵の取り扱い方

 
まず、学校給食では、給食として生卵を提供することは絶対にありません。
 
生食を前提としている日本の生卵は殺菌済みではありますが、万が一サルモネラ菌が混入していた場合を想定し、生卵として給食のメニューに入れることは絶対にありません。
 
卵を使った料理の場合には、(75度以上1分以上の加熱)を必ず確認します。
 
ちなみにノロウイルスの場合の加熱温度は、(90度以上90秒以上の加熱)です。
 
 
 
学校給食の場合には、生卵の納品の段階から戦いは始まります。
 
生卵の納品時に温度を測定し、10度を超えている生卵は受け取りません。
 
生卵の納品時の温度は厳しく決められていて、サルモネラ菌がほとんど増殖しないと言われている10度以下のものしか受け取らないことになっています。
 
 
そして学校給食で扱う生卵というと、何百個という数になりますが、原則として、調理の直前に殻を割ることになっています。
 
これは、殻を割ることによってサルモネラ菌が増殖する危険性があることと、何百個という卵を割るわけですから、それなりの時間常温に放置することになってしまうためです。
 
後に学校給食では必ず加熱するわけですが、より安全を期すためにこういったルールになっています。
 
 
勿論生卵に使う全ての調理器具は卵専用として区別されています。
 
エプロンや作業台、作業場所も限定し、割卵作業後は出来る限りその作業した区域にも近付かないようにします。
 
これはサルモネラ菌に加え、学校給食には何人かは必ずいると言われている、卵アレルギーの児童生徒の給食へ万が一にも混入させないための措置です。
 
 
そして洗浄時にもルールを設けています。
卵に使うスポンジやタワシ類は全て専用のものを区別しています。
 
シンクも肉卵専用として別に設けてあります。
 
専用のシンクを区別するほどの規模がない施設は、生卵に使った調理器具は一番最後に洗うことによって区別しています。
 
 
学校給食では、サルモネラ菌に加え、卵アレルギーに対する注意も払わなくてはいけないため、非常に厳格にルールを設けています。
 
 




テルオ的まとめ

 
日本では「たまごかけご飯」が国民食と言っていいほどメジャーで愛されている食べ物です。
 
そのため日本では「生食」を前提とした殺菌処理を施し販売されています。
 
ですがそれでも注意が必要です。
 
賞味期限を守る
10度以下で保存
十分な加熱(75度以上1分以上の加熱)
 
生食は出来るだけ新鮮な卵を使用し、中途半端な加熱はより危険なため十分な加熱を施すことが重要です
 
 
 
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