学校給食の「お減らし」から考える教育委員会の食育の甘さ〜完食指導問題〜

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こんにちは。元学校給食調理員のテルオ(@undoteruo)です。
 
 
早速ですが、学校の給食に関してこんなニュースがありました。
 
岐阜市立小学校の女性教師(50代)が、児童らに給食を完食するよう指導した結果、2017年7月までに少なくとも5人が嘔吐していたことがわかりました。岐阜市教育委員会は女性教師に対して口頭での厳重注意処分を出したと発表。
 
引用:breaking-news.jp
 
こういう、小学生や中学生への給食の“行き過ぎた指導”という食べ残し問題のニュース、何年かに一度は耳にしますね。
 
僕は今回のこのニュースをお昼のワイドショーで見ていたんですが、コメンテーターの方がこんなことを言っていました。
 
 
「今の学校では“お減らし”という、食べ残さずに手を付ける前の給食であれば、苦手な給食は戻して減らしても良いとしている学校も現在増えてきているので、吐くほど食べさせるのは健康上良くないし、給食ももったいないので、こういう指導をすれば良いのではないか」
 
 
この“お減らし”というものが事実なのであれば、
 
日本の食育もここまで来たか…
 
 
おわったな
 
 
と、給食調理に携わっていた僕は思うわけです。
 
 
今回は、そんな“お減らし”の問題点を話していきたいと思います。
 




給食の完食指導で児童5人が繰り返し嘔吐 岐阜市立小学校

 
まず、今回のニュースにある、「給食の完食指導で児童5人が繰り返し嘔吐」というものはどういったものだったのか。
 
 
「苦手な食べ物がある」「元々食が細い」という児童に対して、この女性教師は予め給食の量を減らした上で、「これくらいならば食べられるでしょ?」ということで、無理矢理ではないが、給食を食べるための手助けをして食べ残させずに完食をさせたというものです。
 
その結果、児童は嘔吐したとのことですね。
 
 
この件は、学校への匿名の情報提供で発覚し、教育委員会は女性教師に対して厳重注意処分を行ったとのことです
 
 
この件が“教師の不祥事”というカテゴリーで語られていることに対して僕はいささか疑問ではあります。
 
賛否はあると思いますが、良いか悪いかは置いておいて、この女性教師は教育指導に対して真面目な教師なのだと思います。
 
これを“不祥事”とするのには若干の疑問を感じます。
 
 
この件を受けて、最初に話したコメンテーターの「お減らし」という話が出てきました。
 
この「お減らし」について少し調べてみたところ、実際に行っている学校も本当にあるようなので、元学校給食調理員の僕からその問題点を指摘しておきたいと思います。
 

学校給食の「お減らし」とは?

 
児童生徒が、自分の給食の中に苦手な物が入っていたり、食べきれない量だと思った場合には、手を付ける前の給食であれば戻して量を減らしてもいいですよ」というものです。
 
 
何を目的としているのかといえば、
 
  • 無理に食べさせない
  • 食べ残すのではなく“戻す”ことにより、食事を無駄に捨てることのないよう自分の食べ切れる量を知ってもらう
 
この2点を目的としていると思われます。
 

「お減らし」しても結局は捨てることに

 
食べ残すのではなく“戻す”ことにより、食事を無駄に捨てることのないよう、自分の食べ切れる量を知ってもらう
 
 
 
小学生に実際に給食を作っていた僕の立場から言わせてもらうと、物事には裏と表があり、これは食事の表だけを見せているに過ぎません。
 
具体的に言えば、“食事を無駄に捨てることのないよう”と言う部分が表です。
 
結局は捨てることになるという裏の部分を隠しています。
 
裏も見せてこその教育だと僕は思っているわけです。
 
この裏の部分も同時に教育をすべきではないかと思わずにはいられません。
 
 
僕が初めに言った「日本の食育おわったな」とは、べつに給食を残すことが許されていることに対するものではなく、「あくまで綺麗な状態で戻しているので“もったいないには当たりませんよ”」という、裏を隠した教育に対するものです。
 
 

おわってますね。

 




「お減らし」で起こる問題点

 
結局は捨てることになると言っても、一般の方はこう思うでしょう。
 
  • 食べたい子供におかわりさせればいいじゃないか
  • 食べ残し、または余った給食は家に持って帰ればいいじゃないか
  • おにぎり等にして、希望者に配ればいいじゃないか
 
給食は適正な栄養素と摂取カロリーを決めて作られているので、むやみやたらにおかわりをさせることも難しいことです。
 
例えば肥満の子供が「おかわりしたい」と言ったからといって、好きなだけ食べさせるわけにもいきません。
 
 
また、「お減らし」が横行すればクレームの問題もあります。
 
給食費は皆同じ額を払っていますから、実際に子供が食べる給食の量が変わってくると、ウチの子はいつもお減らししてるんだから給食費安くならないの?と言う家庭も出てくるでしょう。
 
そうなれば「ウチも!ウチも!」となり、挙句の果には「○○君はいつもおかわりしてるんだからウチの給食費を減らして○○君の給食費を上げてくださいよ!」という、面倒な問題が必ず出てきます。
 
なので、やたらとおかわりをさせることも、「お減らし」の制度を設けることも悩ましい問題です。
 
 
 
給食の持ち帰りや、おにぎりといった点については、
僕の25年くらい前の小学校時代には、残った給食のご飯をおにぎりにして職員室に置いておいて部活終わりの子供達に配っていました。
 
しかし現在では衛生上、こういった給食の時間を過ぎた給食を残しておいて後から食べるといったことは禁止されています。
 
給食の持ち帰りは更に厳禁です。
 
 
 
こういった問題により、「お減らし」をしても結局は捨てることになるわけです。
 
 
食べ残しではなく綺麗な食事を「お減らし」しても結局は捨てることになる。
 
 
この部分を教育委員会も食育として子供達に教育するべきだと僕は考えます。
 

教育委員会は「残飯処理」を食育に取り入れるべき

 
  • 表は「捨てずに手を付けないで戻す」
  • 裏は「結局は残飯となる」
 
食育ではこの表の部分しか教育されていません。
 
食育と言うのであれば、あなたの食べ残した食事はゴミになるんですよ」という部分を教育するべきだと僕は考えます。
 
 
具体的に言うと、
 
 
自分で捨てさせる
 
 
食べ残した給食の残飯処理を児童生徒自らの手でさせるんです。
 
単に給食を戻すといったことではなく、給食を作った調理員の目の前で、自らの手で、ゴミ箱へ食べ残した給食を捨てさせるんです。
 
 
 
これもやっぱり“行き過ぎた教育”となるんでしょうか?
 
食事をする。
残りを片付ける。
 
人間として生きる上でとても自然なことです。
 
 
いくら隠しても現実は現実として、一枚の壁の向こうでは存在しています。
 
これに疑問を投げかける子供には『学校給食法』や『衛生管理基準』を教えてあげてください。
 
それでも納得できない子供には、教育委員会の職員になるための方法を教えてあげてください。
 
ルールに納得できないのであれば、自分がルールを作る側になって自分が正しいと思う給食のルールを作ってください」と。
 
 
これが教育というものではないでしょうか。
 




テルオ的まとめ

 
匿名の情報提供
 
 
教師の“不祥事”
 
 
女性教師に厳重注意処分とする教育委員会
 
 
「私の小学校では食べられないものは捨てるのではなく、手を付ける前に「お減らし」してましたよ〜」と言う某局の若い女子アナ
 
 
 
学校給食の調理に携わっていた僕から言わせれば、全てにおいてピントがズレています。
 
 
匿名の情報提供って、、親ならばまず学校と話し合うべき。
 
賛否があるものに対して厳重注意とは、一体なんぞや?
 
「お減らし」は、つまりは食べ物をゴミ箱に捨てる行為。
 
 
 
このままでは本当に日本人の体も頭もダメになってしまいます。
 
教育委員会は僕のこの記事をよく読み込み今後の食育に活かしていただければと思います。
 
 
 

 
 
 
 
 
 

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